ぶっく

□笑っちゃう程君が好き
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<笑っちゃう程君が好き>

(また今日も言えなかった)

太陽が沈みかけ黄昏時の教室に二人は並んで座ってた
私はヘッドフォンをつけ遥とは逆のほうを向き窓の外をじっと見つめては「はぁ」とため息をつく

「貴音?そろそろ帰ろっか」

遥はそういうと立ち上がりカバンを持ちさっそうと帰るしたくを始める
「あっ、ちょっ待って!」
私はバッと立ち上がるとどこにもつながれていないヘッドフォンのコードがぶら下がっている。これは恥ずかしい
「ん?どうしたの?」
きょとんとこちらを見る
その表情にドキッとした
「あのさ、遥…」
そう、私は遥が好きだ。
だけど言えずにいた。
日が暮れると気持は焦る
もう少し待ってくれと太陽を睨むが待ってはくれない。
自分から言わないと
「貴音?」

「…あ、いや、やっぱりいい…いいや」
…失敗。
何回目だろう
でもこの気持ちでいるのも案外つまらなくもない。
意外にワクワクするものだ

「いいんだぁ…少し期待したのに」

「え…?」

「僕、貴音のこと好きだよ」
言いながら遥は私に近づきぎこちなく唇を重ねた。
「え⁉ふぁ⁉え…⁉」

「あはは、ごめんね貴音。僕知ってたよ、貴音の好きな人」
まさか。と思ったらそのまさかだった。遥に以前貸した教科書の24ページだかの隅に『遥、好き』って書いていたのを遥は見つけたらしい
私はそれをすっかり忘れていた
「み、見たの⁉」

「見ちゃった」
遥はニコッと笑うと私に耳を傾けてきた
「口で言ってよ。ほら『好き』って、ほらほら」
…今度こそ
「好き。」

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