WAY(ロー長編) 【完結】

□いつまでも甘えてたい...
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あの件以来、わたしは本格的にお尋ねものになってしまった。


だから、スカートも履くのをやめて 長い髪も束ねて帽子をかぶるようにした。

それでもバレたときは堂々と戦った。


1人で倒せる相手でもローは常に戦闘準備満々だった。


そんなことが何度が続き、わたしの手配書は写真も子どものときのものから今のものに変わり、名前も毎回毎回トラファルガーだと言っていたらいつの間にかトラファルガーに変わった。

そしてわたしはあの日からローにドキドキを覚えるようになった。


そんなある日、わたしは次の島を目指している途中 急に高熱を出してしまった。


ローの診察と治療で大したことにはならなかったが、長引く熱でなかなか下がらなかった。


「ロー」


「しんどいのか?」


「次の島までに熱下がるかな?」


「ペンギンが近々上陸だって言ってたからな さぁ、どうだろな」


「もし、熱下がったら行ってもいい?」


「下がったらな」


「じゃあ頑張って下げる!」


そんなわたしを見てローはふっと笑う。


ローはわたしが熱が出てからずっとつきっきりでいてくれている。


敵船がきてもベポやペンギン、シャチたちクルーに任せてわたしのそばにいてくれた。


いつもはこのベッドで一緒に寝るのにわたしが熱が出てからローはソファーで寝ている。


1人のベッドは何か物足りなくて、なぜか急にローを恋しくなる。


「ロー」


「なんだ」


「いつになったら一緒にまた寝れる?」


「下がったらだ」


「ロー、ちょっとだけこっちきて」


「それよりカブトムシ、ちょっとは兄貴離れしろよ もうガキでもねェだろ お前がそんなんだから俺がシスコンだって言われるんだ」


「ロー、嫌なの?」


「嫌じゃねェけど普通の兄妹はこんなんしねェだろ」

「だってわたしローが好きだもん」


「バカか そんなんサラッと言うな 他のやつの前でそんなん言うなよ 兄貴として好きって意味でも勘違いされるからな」


前まではそうだったんだよね…
お兄ちゃんとしてローが大好きだった。


でも今は何か違うの


ローの体温もローの体も
ローの優しさもローの言葉も何もかも全部わたしだけのものにしたい。


他の女の子がローに関わるのを見るだけで胸が潰れるくらい苦しい


ねぇ、ロー わたし、ローに恋してるんだ きっと…

「なんか違うんだ ローのことお兄ちゃんを越えて好き」


「は?………」


(カブトムシ………!?)


「とか言ったらローが困るからやめる(笑)」


「言えよ」


珍しく強い眼差しでローはわたしを見てきた。


「え?」


(バカ…俺に期待させるようなこと言うなよ……俺はいつからお前を……こんなに…)


「言えよ」


「だって…わたしおかしいのかもしれないから…ローはわたしのお兄ちゃんなのに……」


「だったら俺はガキの頃からおかしかったのかもな」

「え?」


「カブトムシ、俺に惚れてんのか?」


わたしは顔が真っ赤になる。


心臓が壊れそう


ねぇ、わたしは答えていいの?


お兄ちゃんが好きだって認めていいの?


わたしはローを好きになっていいの?


でもわたし、もう嘘つけないくらいローが大好きだよ…




「………………………………………………………………………………………うん」


わたしがそう頷くとローはわたしをギュッと抱きしめた。


「バカ 遅ぇよ」


「え?」


「俺はガキの頃からチビのお前だけを想ってきた 他のやつなんか目に入らねぇくらいにな」


「ロー…」


ローはわたしのことずっとそんなふうに想ってくれてたんだ


胸が熱い


ローに触れたいよ…


「じゃロー、わたしたちってキスしてもいいんだよね?」


「逆になんでいけねぇんだよ」


そう言ってローはわたしの唇に優しくキスしてくれた。


唇が離れて目が合う。


ローってこんな綺麗な顔してたんだ


自分のお兄ちゃんなのに今更そんなことを思った。


「顔、真っ赤だぞ」


ローはふっと笑った。


「ローのせいで熱があがったの」


わたしがそう照れ隠しをすると、


「それはいいことだな」


とふっと笑う。


その笑ったローにわたしはまた胸がしめつけられるようにキュンキュンする。


わたしはローの唇に自分の唇を重ねた。


ローは少し驚いていたがわたしを抱きしめながら少し濃厚なキスをしてくれた。

「ロー、熱うつるよ」


「うつるか」


「ロー、もう一回しよ?」

そういうとローはまたわたしをギュッと抱きしめてくれた。


コンコン


わたしはローから離れようとするがローはわたしを離そうとしない。そのままの体勢で


「どうした」


と返事をする。


「船長、後方に敵船を発見し敵船はこちらに砲撃を向けています!」


ローはわたしを離し、刀を手にして扉を開けた。


クルーもまたローは戦いをみんなに任せるものだと思っていたみたいで、ローが刀を持っていることに驚いた。


そしていつになくご機嫌の顔で、


「カブトムシ、続きはまた後だ」


そう言って甲板に向かっていった。


ローがいなくなった船長室で1人になっても、わたしは心臓の高鳴りがやむことがなかった。


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