MORE(ロー長編)【完結】

□no.6
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黄色い潜水船に乗せられると、わたしは治療室へ運ばれた。


ローはベポや他のクルーに治療室から出るように指示し、わたしと2人っきりの部屋に鍵をかけた。


わたしは海賊との2人っきりの雰囲気であの男を思い出し、身体が震えた。


さっきまでベポがいてくれた安心感は今ない。


震えるわたしにローは


「ベポが世話になったみたいだな」


そう言った。


「……ぃぇ………」


まだわたしはこの雰囲気が怖いと感じた。


ローはわたしの刺青を見つめる。


そして長い沈黙の後、


「これ消したいと思うか?」


そう聞いてきた。


「え?」


「どこのちんけな海賊に入れられたんだ」


「………」


「俺は外科医、医者だ。お前が消したいなら消してやる」


「…そんなことできるの?……」


「当たり前だ」


わたしはその強い返事を聞くと震えが止まった。


ベポが尊敬しているキャプテン、何も聞いていないのにこの傷の意味を理解してくれている。


わたしは首をたてにうなづく。


「痛みは伴う それに傷もある。治療が終わっても痛みはしばらく続く それは覚悟しとけ」


わたしはうなづく。


そして長時間に渡る手術が始まった。


治療室の前ではベポが付きっきりでわたしを待ってくれていたみたいだ。


そのときにシャチとペンギンからわたしの刺青の意味を知らされる。


「船長があの子のあれには誰も触れるなって」


「たぶん海賊のマークが入ってたからどっかの奴にひどいことされてたんだって」


「ベポが思ってる船長の腕と同じようなものではない。あれはわけありでつけられたもので、あの子はそれを隠し続けていた。ベポ、変わらず接してやれ」


「そうだったのか…だから手で隠してたのか…当たり前だ、これからもおれは仲良くするぞ!カブトムシはカブトムシだ\(^^)/」


そしてわたしの長い長い手術は終わった。


わたしはまだ麻酔が効いていて寝ていた。


ローが部屋から出てくるとベポはローにわたしの状態を聞いた。


「キャプテン!カブトムシは(´・ω・`)?」


「無事終わった 起きたら看病してやれ すぐには動けないからな」


「それよりベポ、あいつは何者だ」


「父ちゃんを探してるって(^^)」


「父親探しか。 当分動けない だがこのままここに留まるわけにもいかない。あいつを乗せたまま出航する。ベポ、あいつの船から荷物運んできてやれ」


ローのこの言葉に誰もが驚いた。


船長は女を船に乗せるのを何よりも嫌っていた。


幾度も幾度もローに言い寄ってきた女たちはこの船に乗りたいと言ってきたが、一歩さえこの船に入らせやしなかった。


そこにはローの命懸けの航海があったからだ。


遊びじゃない


だからこそローは中途半端な覚悟のやつは船になんか乗せない。


ずっとそうだった。


しかしローがわたしの乗船を許した理由、そこにはローとわたしだけの秘密があった。

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