MORE(ロー長編)【完結】
□no.13
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そしてその日の夜、わたしは夜食を作った。
父レイリー直伝 北の海の料理で、ミルク風味のシチューみたいなもの。
たくさんの野菜と鶏肉を煮込んだクリーミーなスープ
夜食には物足りないかな?と思いつつ、しかし北の海の料理はこれしか知らないのでコックさんと船番さんにはパンをつけて、ローさんにはおむすびを作った。
昨日のようにコックさんには机に置き、先に船番さんに持っていく。
今日はシャチさん
シャチさんはわたしがくるのをペンギンさんから聞いていたので、わたしの姿が見えると手を振ってくれた。
スープとパンを渡すとシャチさんは物凄い勢いで食べてくれた。
「北の海のミルクスープとかよく知ってんな」
「これミルクスープって言うんですか?」
「知らずに作ったのか?」
シャチさんは笑った。
「お父さんから小さい頃教えてもらって北の海の料理としか聞いてなかったので(((^^;)」
「船長、こういう北の海の料理大好きだからな!喜ぶぜきっと」
それからシャチさんと少し話をした。
夜でも相変わらず明るくたくさん笑わせてくれた。
そしてわたしはローさんのとこに行くと言って、風邪引かないようにとシャチに手を振って甲板を後にした。
コンコン
船長室の扉をノックする。
しかし返事がない。
しばらく待ってまたノックをするが先ほどと同じ。
おかしいな、と扉の前で待っていたらわたしの後ろから
「おい」
ローさんの声がした。
わたしは振り返る。
「ローさん!」
「悪い ちょっと出てた」
そう言ってドアを開け部屋に入っていく。
わたしはローさんの後をちょこちょこついていく。
そしてローさんはいつもの椅子に座った。
わたしはミルクスープとおむすびを差し出す。
「ローさん、どうぞ(*^^*)」
ローさんはわたしから受けとるとミルクスープを飲んだ。
「上手い」
「よかったー♪(*^^*)」
「本当に北の海のもん持ってくるとは思ってなかった」
「え!ローさん、ひどい(;_;)約束は守りますよ!」
「北の海なんて知らねぇだろ」
「詳しくは知らないですけど…」
「でもこれは上手い ありがとな」
わたしはにっこり微笑む。
「ローさんが喜んでくれて嬉しいです(*^^*)ミルクスープは得意料理なんでいつでも作りますよ♪」
「お前 ミルクスープ以外にも北の海の作れるのか?」
「わたし、お父さんから北の海の料理だって言って教えてもらったのこれしかなくて…他はわからないんです」
「そっか」
「すみません(;_;)」
「別にいい」
そう言うとローさんはもう1つの椅子を取り出してわたしに座れと指差した。
わたしは何かよくわからないけど言われるようにその椅子に座った。
そして久々にわたしの足の治療痕を見た。
「治療の痕がまだ目立つな これは時間がかかる 動いてて痛いとこはあるか?」
「ないですよ」
するとローさんはわたしにある医学書を渡してきた。
「ここにわかりやすくお前の治療について書いてある。女だから傷とか痕とか気にするもんだろ ちょっと読んでどんなもんかわかっとけ」
わたしは分厚い医学書を手に長い活字を途中まで読んだけど、だんだん眠くなってきた。
そしてわたしは我慢できず医学書の上で眠りこんでしまった。
ローはミルクスープとおむすびを食べながら医学書の上で寝ているわたしに気づく。
「こいつ どこで寝てんだよ」
と、ふっと笑うとベッドから布団を取ってきてわたしにかけてくれた。
「…ローさん…むにゃむにゃ…この船に乗せてくれて…むにゃむにゃ…ありがと……」
「………寝言か…」
ローはそんなわたしの横で夜遅くまで医学書を読み、わたしをそのままに自分も布団なくベッドで寝た。