MORE(ロー長編)【完結】

□no.14
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朝、はっと目が覚める。


わたしはローさんから渡された医学書の上で寝ていた。


周りをキョロキョロ見るとローさんが布団をかけずに寝ているのが目に入る。


わたしは自分の肩に手をやると布団をかけられているのに気づき、ローさんがなぜ布団をかけてないのかを知る。


わたしは布団をローさんにかけて、寝ているローさんに


「ありがとう(*^^*)」


と言うと洗濯場に向かった。




洗濯も終わり食堂でみんなと一緒に朝ごはんの準備をしていたときだった。


ベポが走って食堂にやってきた。


「みんな、キャプテンが!」


みんなはベポの言葉を待つ。


「キャプテンが熱なんだ!」


わたしはその言葉に、今朝布団をかけず寝ていたローさんの姿が頭に浮かぶ。


わたしは走って船長室に向かった。


「カブトムシ(´・ω・`)?」


「カブトムシ?」


わたしはみんなの呼びかけにも振り返らず船長室を目指した。


ノックも忘れて船長室の扉を開けるとまだベッドに横になっているローさんがいた。


わたしが走って入ってきたのでローさんはうっすら目を開けた。


「なんだ どうした」


「ローさん……ごめんなさい わたしのせいで…」


「あ?」


「熱が出たってベポが…」

「またどうせベポが大袈裟に言ったんだろ 大丈夫だ 心配すんな」


「わたしがローさんの布団取っちゃったから…」


「そんなんじゃねぇ」


わたしはローさんのおでこに手を当てる。


「こんなに熱い…」


そしてわたしは走って食堂に戻り、ささっとおかゆを作り 氷枕と冷たいタオルを用意した。


「カブトムシ、船長は医者だからそんな険しい顔しなくても大事には至らねえよ」


みんなは意外に落ち着いてた。


「わたしのせいなんだ。昨日わたしがローさんの部屋でうとうとして寝ちゃったから……」


その言葉にみんなは反応した。


「え!カブトムシ、昨日船長と一緒に寝たの?」


「バカ、シャチ。そんな言い方すんなよ」


「おいベポ、船長はちゃんと服は着てたんだろうな」

わたしはその意味に気づき顔が赤くなった。


「え、なんでカブトムシが顔赤くなるんだよ!まさかそんな…」


「なんでシャチがそんなに焦ってんだよ」


とペンギンは笑った。


「いえ、わたしそんなことは…あの…してないです…」


と言うとみんな なんだ!と笑った。


わたしは赤くなった顔をどうにかしなくちゃと思いながら走って船長室に向かった。


わたしはまたノックもせずに船長室に入った。


「お前 ノックくらいしろよ」


「今そんなことはいいじゃないですか」


そう言ってローさんの頭の下に氷枕を置き、おでこの上に冷えたタオルを置いた。


「どうですか(´・ω・`)?」


そう聞くと、



「大袈裟すぎだ」


「だって熱いもん(;_;)」

「心配しすぎだ 俺は医者だ すぐ治す」


「じゃ今すぐ治して下さいよ(;_;)」


「は?そんなんできるか」

「ほらすぐには治らないじゃないですか」


「うるせぇ 黙ってろ」


「それよりおかゆ食べます?」


「おかゆ?お前が作ったのか?……食わせろ」


「え?……」


そう言うと起き上がり、ベッドにもたれた。


「早く」


わたしはまた顔が赤くなった。


「なに照れてんだよ そんな年じゃねえだろ」


「照れてないもん」


「ごちゃごちゃ言うな じゃ顔赤くすんな」


「意地悪なことばっか言うんですね( ̄^ ̄)」


そう言うとわたしはスプーンでおかゆをすくいローさんの口に運んだ。


無言で続くその行為にますます顔が熱くなるのがわかった。


その時だった。


「船長!!!海軍に囲まれました!!」


「何隻だ」


「四隻はいます!!」


ローさんはベッドから立ち上がり、大きな刀を手にし船長室を出ようとした。


しかしわたしはそんなローさんの手を強く掴んだ。


「ローさん!!」


「離せ」


「でも!!」


「すぐに終わらす」


「やめて!!ローさんの能力は使えば使うほど体力を消耗するって」


「バカか そんなこと言ってる時か 相手海軍だ!お前が俺に指示すんな」


わたしの手をローさんは払った。


わたしはどうしても止めたかった。


わたしをいろんなことから救ってくれた人だから、わたしはこんなしんどいときに戦ってほしくなかった。

大丈夫だって言うけど、熱あるときに大丈夫なわけない。


だから戦ってほしくなかった。


「ローー!!!海軍ならわたしが潰すから!!!!だからここにいて!!一秒でも早くよくなってほしいの!!」


「お前、バカなことすんな」


「いいの…もうバレてもいい!!!!わたし、ずっと1人で寂しくて海に出た。でもね、今は寂しくない。ローがいてくれて、ベポやみんながいてくれる。わたし、海賊として生きたい…そしたらさ、ずっとみんなと一緒にいれる!!ローやみんながなんで海賊になったのかわたしは知らない。でもね、わたしは大切なみんなを守るために海軍の敵になって海賊になるよ、それでみんなとずっと一緒にいたい。船長…だめかな こんな理由だとわたしは船から降ろされる?」


ローはふっと笑った。


「本気で俺の船のクルーになるならこの戦い絶対勝ってこい」


「四隻くらいそのへんの海王類に比べたら平気♪」


そう言ってわたしは甲板へ走って行った。


「船長、カブトムシに任せていいんですか!?」


「ま、見ててやれ」

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