WAY(ロー長編) 【完結】

□悪魔の鳳凰...
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----カブトムシ SIDE-----

ドンドンドン


「カブトムシちゃん!!カブトムシちゃん!!


「何だろうこんな朝早くに………」


扉を開けると急いできたらしい村の郵便屋さんがいた。


「郵便のおっちゃん、どうしたの?こんなに早くに」

「今朝、局にローくんからカブトムシちゃん宛に手紙がきてて…!!」


「え!?!?」


わたしは差し出された手紙を見る。


確かにそこには達筆で少し筆圧が薄めのローの字で、

“トラファルガー・カブトムシ”


とわたしの宛名が書いてあった。


「ローくんが手紙寄越すなんて初めてのことだから急用かと思って急いで持ってきたんだ」


「ありがとう 郵便のおっちゃん」


「ローくんに何かあったなら何でも言ってくれ!村のみんなはローくんの味方だから!」


そう言って郵便のおっちゃんが帰るとわたしは恐る恐る手紙の封を開けた。


“カブトムシへ

急なことをいう。


今すぐ村を出て俺の船にこい。


お前は今、あの時の施設の奴が主犯で海軍から命を狙われている。


主犯はもう殺った。


だがすでに海軍は計画を立てている。


その村にくるのも時間の問題だ。


ここからが大事な話だ。


村のやつらが俺たちをかくまったとバレれば、ただではすまない。


だから、村長には俺たち二人の戸籍は消すように言え。


あと村のやつらみんなに俺たち二人とは何も関係なく、知らない とだけ言うようにしろ。


お前は俺が守る。


とりあえず早くしろ


ロー ”



……………………
……………………
……………………


待って わたしが命を?


村のみんなも命を?


急なことで理解しきれなかった。


でもいつだってわたしはローを信じている。


わたしはこの手紙を持って村長の元へ向かった。





村長は、わたしたち二人の戸籍を消すのがツラくてできないと涙を浮かべてそう言っていた。


「二人が悪魔の実の能力者だからと言って、二人が何か悪いことでもしたのか?なぜ普通に生きてはならんのだ!二人はこの村の大切な子だ!」


「村長……これ」


わたしはもう一枚、村長宛にローが書いた手紙を渡した。


最初はこの手紙に気づかなかった。


ローらしく一番責任を感じる村長を気遣ってこう綴ってあった。


“村長、カブトムシと俺のことは心配しないでくれ。

ただ、俺たちの帰る村はそこだけだ。


村長、俺らの村を守り続けて 俺たち二人の帰りをみんなで待っていてくれ”


この手紙を読むと村長は大きく頷き、わたしたち二人の戸籍を消して 病院、郵便局、あらゆる機関からわたしたち二人の名を消した。


そして村人全員を集めてわたしたち二人を知らないことに、全く関係なかったとするように と涙を流しながら伝えてくれた。


村の人はわたしとローを本当に我が子のように可愛がってくれた。


そんなわたしたちを知らないように振る舞うことがツラくてたまらないと言ってくれた。


わたしとローはこの村の自慢な子たちだ、と。


こんな温かいみんなだからこそローはこうしろと言ったんだよね。


わたしは明日、旅立つことになった。
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