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□誘っているように見えたので、つい
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なんとか下級悪魔の討伐任務が終わる。

大変だったとため息をつきながらふと思う。



「なんで姫だきにしてるの?」


「名無しさんが「腰が抜けてたてなーい」って言ったじゃないですか?」


「なにその声!?私の真似ですか?」


「はい。三日三晩練習しました」

「意味のないことするな!!」


「いつか役に立つと思いましてね」


「いつ!?しかも似てないからね!?」


「似てますよ。兄さんのお墨付きです!」


「燐の!?」


「野太い感じが似てると」


「兄弟そろって私を貶すな!!」


「可愛ですよ。名無しさん」

「うるせぇ!!おろせ!!」



ギャンギャン吠える名無しをものともせず雪男は森を進む。
後ろの塾の皆が「またやってんなっ」と苦笑いをこぼす。



「若先生ずっこいわ〜僕も名無しさん姫だきに…へぶ!!」


「志摩!!ワレはほんまに!!」


「冗談ですやんか!!」


「志摩くん。撃ち抜きますよ?」

「す、すすすんません!!」


「…先生下ろしてってば!」


「名無しさん往生際がわるいですね〜」


「往生際がわるい!?もう抱かれてるのに!?」


「抱かれたい?名無しさん抱かれたいんですか?」


「耳の手術してきたらいい!!おすすめの医者紹介しますからぁぁあ!!」


「皆の前で大胆ですね〜。素直になる場面がずれてますよ。でもそれが可愛んです。名無しさんまじLOVE」


「頭んなか見せてみろ!いったいどーなってんだ!?話が通じない、燐通訳!」


「悪ぃ無理」


「燐んんん!!」


「兄さんの名前を叫ぶなんて。抱き合う前に妬かせてくれますね。名無しさん」


「……よく祓魔師になれましたね。頭弱いのに…」


「弱点の話ですか?名無しさんにだけは弱いですよ?」


「ほんとまじで通訳来てくださいぃぃぃぃ!!」


「照れないでください、ほら」


「え!?ん!!」



名無しの口に遠慮なしに雪男は唇を押し付けたのだった。













怒り狂うまで赤面中。
『誘っているように見えたので、つい』











end

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