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□もしかして記憶喪失?
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「んふふ…この漫画おもろーい!」



名無しは(メフィストの)家で(我が物顔で) ソファーに寝そべり(勝手に)漫画を読んでいた。

机に散らばっているポッキーを手にとり口に運ぶ。
そんなことをかれこれ10分近く繰り返していた。



「名無し!来ていたんですか?」



漫画を下ろして見上げれば先日猫になっていたアマイモンがいた。
名無しはひとつ頷きながらまたポッキーを口に運ぶ。



「!」


「な!?どーしたアマイっ!?いっ!!」


「っ!!」



運ばれたのは最後の1本のポッキー。名無しが加えたポッキーの逆端をアマイモンは加えた。

それだけなら可愛らしい恋人のすることだ。しかし名無しはアマイモンの急な行動に頭を引く。
アマイモンは名無しがポッキーをとると勘違いしたのかものすごい早さで名無しに迫った。

出遅れた名無しの額とアマイモンの額は見事にぶつかり清々しいまでの音を立てた。



「いっ…たぁ。頭割れてない?てか大事なミソ出てないこれ?ねぇーアマイモン?」


「……」


「無視か?アマイモーン!」


「……ここは……?」


「なに新ギャグかましてんの!あれか!メフィストからきいてやってみたのか?あーはいはい面白いですよ」


「……?」


「いった!?ありえないアマイモンに殴られた!?」


「………つい」


「ついで叩かれたよ!アマイモン!ひどい!!」


「アマイモンとは僕のことですか?」


「へ?」



首をかしげながらいつもの顔で名無しに問いかけた。

しゃべり方や見た目はあまり変わらない。しかしアマイモンを纏う雰囲気が少しだけ変わった。



「君は誰ですか?」


「本当に覚えてないの?」


「ハイ」



何だかアマイモンなのにアマイモンじゃないような気がして名無しはうつむく。


――――アマイモン…


なんとなく記憶喪失なアマイモンは面白いけど今までの記憶が全部なくなってしまったアマイモンは面白くない。


悲しいような虚しいような気持ちでアマイモンを見た。



「っ!」


「……すいません」



頭をこれでもかってくらい優しく撫でるアマイモン。


柄にもなく泣きそうになったのはアマイモンのせいだ。









アマイモンは記憶喪失
「私を忘れるなんてありえないぞアマイモン!!」















end

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