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□社会の常識に囚われたくないしー
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「へぇー燐と雪男の義理のお父さんなんだ。優しそうな人だね」


「へへ!」


「名無しちゃんのご両親は?」


「え?うーんと…今は私一人かな…」


「「……」」


「(雪男…なにしてんだよ)」


「(兄さん!これは予測の斜め上だったよ!)」


「(ヴァーカ!!)」


「……名無しちゃん。えーと…ごめんね」


「へーきだよ!!ヴァーカ!!」


「よかったいつもの名無しだ」


「私の頭にはシリアス何て文字は存在しねーのさ」


「あ、よかった。いつもの先天性お馬鹿症候群の名無しちゃんだ」


「誉めんなよ雪男…照れるでしょ!」


「ごめん誉めてないんだ」



「え!?」と真顔で返す名無しに雪男は心中が軽くなる。

と、同時に扉が開かれる。



「おーあさから賑やかだな。お、名無し燐と雪男の面倒見てくれてんのか?ありがとよ!!」


「にしし…」


「なっ!!ジジィ名無しにさわんじゃねーよ!」


「なんだぁ?燐妬いてんのか?男の嫉妬は醜いだけだぞ!」


「だぞ!」


「う、うるせぇー!!」



獅郎に頭撫でて貰いながら名無しは目を細めて笑う。

先生のておっきいし暖かいね〜 眠くなりそー……



「名無し、寝るなよ?」


「ふぁーい」


「うし、授業始めっか!きりーつ!!」



号令をしたあとに名無しは欲望に任せて眠る体勢に入る。

隣の燐は既に机に突っ伏している。



「おいおい寝るなっつたのによー。燐、名無しおきろー!!叩きのめすぞ?」


「先生の手がおっきいし暖かいから眠たくなりましたーってことでおやすみなさぁーい」


「可愛こというな!よし、おやすみ名無し!」


「ふぁーい」


「燐は起きてろよ!頭悪いんだし」


「ジジィィィィ!!」



頼む授業してくれ。しかも生徒に睡眠すすめるってなに?と頭を抱える雪男と勝呂。

志摩と子猫丸は賑やかやねーなんて呑気に話している。



「燐うるさいぞ!授業中なんだから黙ってなさい!!」


「教師面してんなよ!」


「っ!!」


「兄さん!」



なんだか不穏な空気になってきた。

燐は人一倍尖っている犬歯を立て獅郎に吠える。

獅郎はあからさまに傷付いたように教卓の近くの椅子に座る。

そのあとにサから始まってンで終わる悪魔に憑依されるかと思われたが、獅郎はエロ本を手に取る。
予想外の展開に燐は口をあんぐりとあける。



「あぁーやる気なくした。燐のせいだぞ!授業やめ!自習!」


「ほんま教師かいな!」


「俺?教師だぜ!」


「どないやねん!!」


「まぁ、勝呂君落ち着いて…」


「奥村先生も何も思わんのですか!?」


「先生じゃねーんだよ」


「あ、すいませんした」


「俺の今年の目標は"社会の常識に囚われたくないしー、俺流でやるしー、目指せ鬼塚先生だしー"だ!!」


「誰がそんなダメな大人の見本見てぇーな目標言えっつったよ!!」

「ダメな大人……だ、と?」


「んだよ…」



それから獅郎は授業が終わるまで沈んでいたそうだ。



「先生ぇー授業終わったよ」


「名無しかぁ…燐の奴よくも。俺のナイーブな心はズタズタだぜ!」


「元気出して!!私は先生が元気出るようガンバるから!!」


「名無しっ…お前って奴は…」


「先生ー」


「名無しっー」


「何やってんだよジジィ!!」


「燐んんん!!」



獅郎vs燐はまだまだ続く。












教師なんだから常識に囚われて!!「無理無理。俺そー言うの嫌い」








end

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