日常生活
□尊敬するに値する人
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「フェレス卿今日までの書類を…って、名無しさん?」
『あ、雪男君!今メフィストは不在だよ!』
「名無しさんがなんでフェレス卿の机に向かってるんですか?」
『うん。メフィストが"所用ができました。適当に判子を押しといてください☆"って』
「……はぁー…名無しさんそれはあの馬鹿理事長の仕事ですから」
『以外と楽しいよ!』
「名無しさんこちらに来てください」
『へ?』
「はい、座る!そしてジッとする!そして、僕は紅茶を淹れます」
『て、手際がいいことで。てか、帰らないの?』
「かえりません。今日までの書類を貰うまでは。だから名無しさんとティータイムです」
『そうだね!じゃ、よろしく雪男君!』
「はい。ところで名無しさん」
『はい?』
「名無しさんが"アノ"上一級祓魔師だったんですね」
『え!?なんで知ってるの!?』
「兄さんから聞きました。はい、紅茶」
『ありがとう…。燐君め…』
「あはは。聞き出したのは僕なんです。このまえ夜遅くに帰ってきたから」
『むぅ〜……雪男君にバレた。雪男君立派な祓魔師だから知られたくなかった…』
「なんでですか?僕は"アノ"祓魔師が名無しさんだったとき嬉しかったんですよ?」
『ふぇ?なんで!?』
「神父さんからよく聞いていました。"悪魔との闘いを好まない、悪魔と友好を築こうとしてるやつがいる"と」
『し、獅郎さんめ!!』
「神父さんは面白おかしく沢山僕に話してくれました」
『面白おかしく!?』
「はい!マーラと握手して、記念撮影したとか屍番犬と散歩したとか。まだ他にも…」
『ぎゃぁぁぁ!!黒歴史ぃぃ!!やめれぇーい!!体裁チョップ!』
「ちょ、名無しさん」
『は、恥ずかしすぎる。絶望だ…雪男君!誰にも言わないでね!』
「でもどれも並大抵の精神と体力が必要だと神父さんが言っていました。だから話を聞くたびに"アノ"祓魔師に対する尊敬の念が増えていきました」
『うっそだぁ〜』
「本当ですよ。だから僕もそんな祓魔師になりたいと思っていたら、まさか"アノ"祓魔師が名無しさんだったんですよ?凄くないですか!?」
『そ、尊敬かぁ…そんな大層な御身分じゃないよ私は』
「いえ、尊敬しますよ。神父さんと同じくらい尊敬してます。だから名無しさんと任務に出てみたいと思ってます」
『なに綺麗な笑顔で言ってるの!?私は絶賛公務員だから!』
「でも、それくらい本当に尊敬してます。信じてくれますか?」
『え!?あ、うん…。あ、ありがとね!!恥ずかしいや…へへへ』
「名無しさん。これから沢山話しましょう。もっと名無しさんについて知りたいので」
『雪男君モテるだろ君』
「え!?」
『て、天然タラシ発見!!』
「え?天然タラシ!?」
尊敬に値する人は目の前にいました。