あぁ――やってしまったんだ。 俺はやってしまった。
19歳。シンドリアにて俺ナナシはおかしてはいけないことをおかしてしまった。
『あ―……すいません。宝石ジャラジャラつけた大きな方々が我が物顔で道を歩いていたもんで、ぶつかっちゃいました!』『すいまっせーん。勉学はしたことがないッスから』『あ、紫色の長髪あんちゃん!!やったぜぇ!』あんな失礼な敬語をまさかまさかのシンドリア国王につかってしまった!!
打ち首だ、拷問だ、死刑だ。
証拠に俺は今国王様がいる一番高い王宮の塔にいる。
あの銀髪にいちゃんもとい八人将のジャーファルさんが
「シンの話が終わるまでここにいなさい。あぁ、謝肉宴は楽しんでくださって構いませんから」
所謂アレだろ。国王様の話が終わるまでの命なんだろ?
『ひぃーっ!!酒のんで意識を薄めよう!薄めて痛みをなくそう。あぁ、ナナシよ。最後の夜に謝肉宴とは皮肉なものだな…フンッ』
「あ!いたいたお兄さーん!!」
「あ、アラジン!!よく話しかけられたな…あの状態で…」
「アリババさんもよく独り言喋ってますよ。よかったですね」
「モルジアナ!?」
『ん?なんだ?国王様の使いの人?』
酒を片手に深々と座っていたら青と黄と赤が見えた。
個性的な色だなぁ。目がチカチカするようだね。
「お兄さん僕お兄さんとお話がしたかったんだ!」
『俺と?また、なんで?』
「お兄さんすっごく強いじゃないか!なんでそんなに強いんだい?暴れウツボも簡単に倒していたし!」
『強いかな?』
「俺も見た!すんげー強かったよな!お前すげぇよ」
「早すぎて見えませんでした」
『んー…てかさ、君らは誰なの?俺を殺すの?殺すなら一思いに殺せ』
俺の一言で三人が騒ぎ出すのがわかった。誰が俺を殺すか決めてるのか?
嫌だ嫌だ。
「お兄さん僕達は君を殺したりしないよ!お話をしようよ。僕はアラジン!!」
「アリババだ。よろしく!ちなみに食客でシンドリアにいるんだぜ」
「モルジアナです、よろしくお願いします」
『アラジンとアリババとモルジアナね…俺はナナシよろしくね』
俺が座っているのにあまり変わらない位置にあるアラジンの頭を撫でてあげる。
なんか小さくて可愛な。
モルジアナってこも可愛。目元があの赤髪の巨漢もといマスルールさんににてる。
兄弟かな?
そしてアリババってやつ。
俺より2、3p身長が高いと見た。ゆ、許せねぇ。
『ちなみに身長何pだ?アリババコラァ』
「え!?喧嘩腰!?え、えーと168だったかな…?」
『3pオーバー…はぜろアリババ』
「な、なんだよ!?」
酒も入ってか俺はアリババに対する態度がひどい気がする。
まぁ、いいや。
3pオーバーしてるし。
明日会えたら謝っておくことにする。
「そーいえばナナシはそのピアス金属器なんだろ?」
『そうだぜ。はぜババ。ちなみにお前年いくつだよ』
「18」
『よらぁっしゃぁぁぁ!!ナナシ様と呼べ』
「なんでだよ!?」
「アリババくんとナナシお兄さんは仲が良いね!」
「そうですね」
そんな可愛顔で可愛こと言うなよ。
キュンときたのでアラジンとモルジアナを抱き締めておいた。
二人は慌ててたけど放してあげないのが伝わったのか大人しくされるがままになってる。
よし、いいこ!!
『アリババの剣は金属器だろ?珍しくないじゃん?』
「ううん!ウーゴ君に会わせてあげたいんだ!ナナシお兄さんのジン」
『え!?アラジンもジンもってんの?てか、ダメダメ!ぜーったいダメ!!』
「今はいないけど…けど見せてあげたいんだ!!」
『……何がなんでもだめだ!俺のジンは…』
「えい!!」
『はっ?』
アラジンは俺のピアスにちょんと小さい手を添える。
するとピアスが震えるのがわかる。
ま・ず・い・ぞ・!!
マハカラーク!!と叫ぶのと同時にアイツは実体化しやがった。
《オイラを呼び出したのは君か?あいにくナナシと契約しててね…》
一波乱起きるな。
俺はニヤリと笑って後ろに立つ青い巨人、マハカラークを睨む。
マハカラークは腕を組んで話始めた。
end