「うわぁ!!」
「な、なんかチャラいのがでてきた!!」
《チャラいとは失礼だなァ。オイラは救済と黯然よりソロモンに作られしジン、マハカラーク。よろしくね。小さいマギよォ》
ナナシお兄さんのピアスからでてきたのはウーゴ君と同じくらいでかいジンのマハカラークさん。
なんだかピアスが沢山ついていてちょっと怖いけど優しいみたい。
僕に大きな指を差し出して握手をしようって笑かけてくれる。
『アラジン待てって!!』
「ナナシお兄ぃっ!?」
「「アラジン!?」」
なんだろう?これ…っ!!
マハカラークさんにさわった瞬間に感じた黒い黒い感情。
僕ががんじょうな部屋に閉じ込められていたときの悲しくて辛い記憶が流れてきたんだ。
アリババくんとモルさんがいたからなかなか思い出すことはなかったけれど。
どうしてなんだい?
『マハカラーク!!"見せるな"』
《えぇ〜ナナシなかなか堕ちないからまがさしたんだよォ!!「マギ」が堕転なんて。オイラの大好物》
『ジュダルだけで十分だよ!バカっ』
ナナシお兄さんはマハカラークさんを僕から離してくれた。
そしたら次はナナシお兄さんが凄く凄く辛い顔をしていて、今にも壊れてしまいそう。
ルフも落ち着きがなくなったように飛び回ってる。
「アラジンに何をした!!」
『アリババっ!やめっ!?』
「アリババくん剣をしまって!僕は大丈夫だよ」
「だってコイツ…」
《あれェオイラがなんなの?悪役?悪者?悪そのもの?》
マハカラークさんは大きな手でナナシお兄さんを包む。
ナナシお兄さんはきっと僕みたいに嫌な記憶を見せられているんだ。
だからギュッと手を握ってるそこから血が出てきてる。
なにかに耐えるように目をギュッと瞑るナナシお兄さん。
だけどルフは黒くは染まらない。真っ白で綺麗なまま。
ナナシお兄さんはもしかしたらすっごく"強い"人なのかも。
《これだから人間は嫌いなんだァ》
「なんだとっ!?」
《お前みたいな小さな人間の価値観だけでオイラを悪者にしないでくれないかァ?君が見つけ出した悪と善を。白と黒を押し付けてこないでよ。お前みたいな人間オイラにかかれば一捻りだよ?》
「っ!!」
シュルルルル
「ア、アモン!?」
アリババくんの剣からアモンさんがでてくる。
僕らを守るみたいにドーンと前に出てる。
《あぁ〜でてきたよォ…。ハイハイ嫌われなオイラは帰りますよォ。ナナシまた会おうね!あ、あとちっさい人間。オイラに刀を向けるのはいいけど同時にナナシに刀を向けてるんだからねェ。ナナシを傷付けたら殺すよォ?》
『か、帰れ!!また今度相手してやるから』
ナナシお兄さんは荒い息を整えるように頭に手をおいてる。
頬に伝う汗を見ると本当につらい記憶を見せられていたんだとわかる。
『ふぅー…』
「ナナシお兄さんゴメンよ!無理にマハカラークさんを呼んでしまって。大丈夫かい?」
『うん。酔い覚めた。アラジンもごめんな?嫌な記憶見せられたろ?アリババも悪く思わないでくれ、ごめん』
「いや、俺は大丈夫だけどよ」
「僕も大丈夫だよ!マハカラークさんはどうしてナナシお兄さんや僕達を堕としてしまうんだい?マハカラークさんも白いルフなのに…」
『あぁ、なんでだろね?あぁいうヤツだからさ。堕転させて楽しんでるんだよ。黒いルフも時々見えるし。けれど俺には我慢できる程度だしなによりマハカラークの力は強いから……っおっと……っ』
「大丈夫ですか?」
『あ、りが…とう。モルジアナ』
ナナシお兄さんの顔色も優れないから早くおじさんのところに行こう。
ジャーファルお兄さんも話があるって言っていたし。
「モルさん。ナナシお兄さんに肩を貸してあげておくれ。おじさんのところに戻ろうよ」
「そうだな」
「賢明だと思います」
『いい!いい!殺される!!』
「?大丈夫だよ!おじさんはそんな人じゃないから!!」
不安そうなナナシお兄さん。
さっきより顔色もよくなってるみたい。よかった。
せっかくの謝肉宴なんだからいっぱい楽しまなくちゃ!!
end