「シンやはりあのジンは危険です。いつ国民に被害をだすかもわかりませんし。そうなると必然的にマハカラークの主であるナナシさんも要注意人物です」
「ジャーファル、少し落ち着きたまえ。ナナシ君の力は本物だ」
少し離れた場所に一体のジン。 ナナシくんのそばにいて、見たことのない格好。マハカラークだ。
「マハカラークの力は"主を堕転させることにより発揮される"と書物にかいてありました」
「だがナナシ君は堕転していない。だから強いんだ。ジャーファル彼はこの国のために動いて貰うのが賢明だと思うのだ」
「力になって貰うのは結構ですが、取り返しのつかないことになってからでは遅いんです」
「よーく考えてみろ?俺だって…」
「シンドバッドおじさーん!!」
「アラジン!」
会話が途切れてしまった。ジャーファルが何か言いたげだったが気にしない。
今回はジャーファル君が折れたまえ!!いつも俺が折れてあげているからな!
『……うひゃ…皆見える。リクいるかな!』
「ナナシお兄さんのお友だちかい?」
『そう!ちょうどアラジンくらいかな?今度会わせてやるよ』
「ありがとうナナシお兄さん!!」
うむ。やっぱりナナシ君は至って普通なこに見えるのだ。
マハカラークが好むのは大きな闇。しかしナナシ君にはその闇を微動も感じさせない。
やはり話しておくべきだな。
「ナナシ君!!」
『うひゃ!?な、なんでしょうか王様…』
「王様なんて他人行儀な…会ったばかりのように接してくれて構わないよ」
『お、恐れ多いです!』
「気にしないでくれ!君は今回暴れウツボを撃退してくれた英雄ではないか!」
『う、うーん?』
「だから気にしないでくれ」
『じゃ、シンさん!!今回は本当にごめんなっさーい!!リクにも謝らせるから許してください!!』
「だからといって砕けすぎですよナナシさん」
「これくらいで大丈夫だ」
『え、俺的にはもっと砕けてもいいかなーって』
「十分ですから」
ジャーファルの目が絶対零度だ。ナナシ君もあんなに怯えているし、可哀想じゃないか!
「ナナシ君。今回は本当にありがとう。君の強さを見込んで頼みがあるんだ」
『え?』
「その君の強さ、マハカラークの強さをこのシンドリアに貢献してくれないか?」
『貢献!?』
あ、ナナシ君凄く驚いてる。
まぁ、いきなりそんな話をしたってダメか。
だが、力はいくらあってもよいものだから、どうかその力を貸してくれ。ナナシ君。
『俺はシンドリアの国民じゃない』
「確かに、見慣れない服装だ。きらびやかだし、何より金属器を見に纏っているからな」
『だから力になれない』
「では、ナナシ君はなぜシンドリアに?」
『たまたまついたのがこのシンドリア。とってもいい国だ。活気溢れているしなにより国民に余裕があって。居心地がよかったから4年ほど滞在してる』
「ありがとう。4年も滞在してるなら立派なシンドリアの国民さ。ナナシ君はシンドリアが好きだろう?」
『大好き』
「なら、力を貸してくれないか?俺のためにシンドリアのために国民のために」
『…はぁー…後悔したって知らないからね』
そう言うとナナシ君はバッと俺の足元にしゃがむ。
左足を地面につけて右足をたてている。手は左を上にして重ねられている。
この格好どこかで…
「シン!」
「え…あ!」
『ナナシ、今日をもってこのシンドリアに力を貸しシンドバッド国王に忠誠を誓う。何があらうとあなた様を裏切る真似はしない。何卒よろしくお願いいたすシンドバッド国王』
この構えは煌帝国の構え。
後悔したって知らない…か。
ジャーファルの睨みがすごい。あいつ本当にいつか胃に穴が開いてしまうな。
開いてからでは遅いんだぞジャーファル。
「ナナシ君、君を信じよう。その力存分に発揮してくれ!さぁ!!次は沢山飲もう!今日は3ヶ月ぶりの謝肉宴なんだからな!」
『え、あ…はっ、はい!!』
ナナシ君は少しだけ嬉しそうにはにかんだ。
うん。堅苦しいよりやっぱり笑っていた方が彼には似合うようだ。
end