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□君の全てはボクを魅了する
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ボクは今ある場所に向かっています。

忙しなく飛び交うからすをはね飛ばさないように、でも1秒でも早くつくように屋根をジャンプします。

ベヒモスも必死にボクに付いてきますが着地が下手です。着地する毎にボクとの差が開きます。


うーん困った。


でも早く行きたいからベヒモスを待ってる時間か惜しい。
かといってベヒモスを引きずるのも…。



「あ」



思い浮かびました。ベヒモスを抱えて走れば早くつく。

こういうのを"いっせきにちょう"と言うらしい。兄上が言っていました。



「ベヒモス。ボクから落ちないでくださいね」


《がうっ!!》


「びゅーん」



ボクはボクが出せる限界の力で彼女名無しがまつ旧男子寮へと走りました。



しばらくして見えてきたのは名無しの住む旧男子寮。

ここはオクムラリンが住んでいるからあまり好きではない。けど名無しがいるから毎日来ています。



「名無しー」


「アマイモンさん!こんにちは」

「こんにちは」



鍵が掛かっていない名無しの窓をガラリと開けた。

そこにいたのは紛れもなくボクの大好きな名無し。

眼鏡を外してボクにニコリと笑いかけてくれました。
その笑顔の可愛さがボクはとても大好きです。



「今日はいつもより早かったですね。アマイモンさん」


「ハイ。ベヒモスを抱えて来ました」


「そうなんですか!よかったねベヒモス」


《がうがうっ!!》



名無しが笑うとベヒモスも喜びます。ベヒモスだけじゃない。
回りにいる小さな魍魎もはしゃぎます。名無しの笑顔は花が咲く見たいに綺麗だからはしゃぎたい気持ちはわかります。


けれどボク以外に見せてほしくないです。
ベヒモスにも魍魎ただ一匹にさえも。
でもそれをいうと名無しは困ったように笑うからボクは言いません。

名無しを好きだけど困らせたくはありません。



「アマイモンさん。今日はアマイモンさんの好きな特製クッキー作りました。一緒に食べましょ?」

「わーい。名無しのクッキー美味しいです。大好きです」


「ありがとうございます。アマイモンさんに言われるとお世辞でも嬉しいなぁ…」


「お世辞じゃないです。本当に美味しいです」


「あはは!ありがとうございますアマイモンさん」



ボクの言葉で耳まで赤くなる名無しが大好きです。

名無しはボクを好きでいてくれるんだとわかる瞬間でもあります。

だからボクも名無しに溢れるくらいの愛を注ぎます。













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