色染くココロ

□暇潰しに殺し合い
1ページ/2ページ

それは突拍子もなく始まった。

虚無界の魔神の城辺りにボーッとしながらたっていた。

すると不意に名前を呼ばれた。
呼ばれた先にいたのは魔神。わざわざなんのようなのかと思い魔神の方へと急いだ。

青い炎で顔がうっすらとしか伺えないがなにやら楽しいことがあったのか嬉々としている。



「ナナシ暇じゃねーか?」


「まぁ暇と言えば暇です」



すると辺りは外から城の中へと変わる。

あ、魔神なんか凄いこと考えてる。

私は身に危険を感じて踵を返す。しかし入り口は青い炎で覆われていた。



「最近暇なんだよ。だから楽しませてくれよな?」



あなたこの間物質界の女性に自分の子供孕ませたとかいっていたじゃないか。

あと少し位待ったらどうだ。すぐ自分の子供に会えるじゃないか。


「やれ!!」


「なっ!?」



玉座の魔神が合図を出すとどこからともなく現れた腐の王アスタロト。

不意打ちをくらって壁にめり込んだ。



「たたた…」


「魔神様の命令だ悪く思うな」


「……」



所謂殺し合い。

魔神はよく暇潰しと称して同族で殺し合いをさせる。

あぁ、それが私にあたたっか。

しかし私は上級悪魔と言えど所詮吸血鬼(ヴァンパイア)なのだ。
非戦闘員な私はアスタロトの攻撃を避けるしか策がない。



「逃げんなっ!!」



アスタロトの目は既に殺し合いを楽しんでいるようだ。
これだから破壊魔は困る。

温厚な悪魔も存在するのを忘れないでもらいたいね。



「ぐふっ!!」



しかしアスタロトがあまりに強すぎる。

直ぐに逃げ回る足を蹴られてその場に転ぶ。

あ、足折れちゃったか。



「かはっ!!っく……っ!!」


「魔神様こいつにかなり弱いですよ?殺していいですか?」


「ナナシつまんねーな。そんなもんか。殺れ」


「っぐはぁ!!」



あなたのその奇天烈な考え方が大嫌いですよ。
自分で私を指名しといて挙げ句はつまんねー。

あぁ、悪魔なんかに生まれなければこんな無意味な苦痛を感じなくてすんだのかな?

痛む腹からは血が溢れ出す。
再生が追い付かないくらいに血を流してしまった。

吸血鬼にとって血は命より大事だ。


霞む意識の中に心底楽しそうな魔神の笑い声。


―――嫌いだ…アンタだけは嫌いだ…


最後の足掻きに私は魔神を思い切り睨んだ。











.

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ