色染くココロ

□永遠契約にキス
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―――あぁ…生きてたのか?さぞアスタロトが怒ることだな?まぁ、拾った命は大事にするんだな!グハハハ!!また会える日を楽しみにしてるぜ

―――なぁ、ナナシ?



「っな!!……っはぁ…夢…」



悪魔でも夢みるんだ。

夢に干渉されたな、頭痛いと私は頭を押さえた。

あ、そう言えば私って獅郎に拾われたんだった。
んで、使い魔にされたんだ。



「傷…治ってる」


「お!ナナシ!」



ガチャリと開かれた扉から出てきたのはマグカップを持った獅郎だ。

私が起きているのがわかると扉を閉めずにこちらに駆け寄ってきた。

そして前髪を払い額に手をあてがう。



「よし、熱下がったな!おはようナナシ」


「おはよう…」


「いやぁ5日も寝てたんだぜ?お前まじめに悪魔か?」


「悪魔だ!」


「よわっちいな〜にゃははは!!」


頭をガシガシ撫でながら獅郎は声をあげて笑った。

いたまれなくなって獅郎の腹を殴ってやった。
ん?力加減はしたよ?



「おまっ…女かよ?馬鹿力」


「悪魔だってば…」


「そうだったな」



腹を抱えながら私が寝ているベッドの縁に座る獅郎。

マグカップのなかのコーヒーをひと飲みして、煙草を取り出した。


「ナナシ傷は痛むか?」


「全然」


「よかったな!さすが悪魔!!」


「さっきから悪魔悪魔って……ばかにしてるのか?」


「おぉ、怖い!!馬鹿になんかしてねーから拗ねんなよ!」


「拗ねてないわ!!アホ!!」



折れた足も治ったようだ。ベットから飛び降りて仁王立ちで獅郎を見下ろした。



「獅郎私なんかがお前の使い魔になっていいのか?」


「んぁ?別にいいぜ?つか、使い魔は口実だ。ナナシはここに住めばいいだろ?使い魔として」

「なっ?」


「嫌だって言っても知らねーからな!」



もう決めたんだと鼻息荒くする獅郎。こいつ馬鹿だ。大馬鹿だ。

ニシシと笑う獅郎。
私もつられるように笑う。


そして獅郎の前に跪いた。

驚く獅郎の手をとりゆっくり言葉を塞ぐ。



「貴方に一生の忠誠を誓う。使役の悪魔としてよろしくお願いいたす。我が主獅郎よ」



ガラじゃないが獅郎の使い魔になったのだからちゃんとした契約をしよう。

そして忠誠を誓うように獅郎の手の甲にキスを落とした。



「ばっか…逆だろ?普通は女の手に男がキスすんだよ」


「だが主これは契約故に…」


「辛気臭い!!ナナシお前畏まんな!言ったろ使い魔は口実だって」


「しかし…」


「しかしもなにもねーよ?普通にしてりゃぁいいんだ。な?ナナシ」



腰を引かれ獅郎が上目で私を見た。

獅郎と目が合い微かに熱くなる顔を隠すようにそっぽを向いた。


「照れんなよ」


「て、照れてない!!」


「アハハ…」



乾いた笑い声をあげて獅郎は私の左手をとった。

途端に先程のように私の左手にキスをした。


そして意地の悪い笑みで一言。




「よろしくな?ナナシ」


「っ〜〜!!」













end


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