色染くココロ

□常服の使い魔
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腰に回る手から逃げ出して部屋を見渡す。
ふむ、古い建物のみたいだけど綺麗に整頓されてる。

西洋を思わせる内装に私は親近感がわく。

昔見たことある城の内装に似てるのか!


ニヤニヤしながら周りを見渡していると獅郎が箪笥を漁りだした。


「何してるんだ?」


「ナナシのその格好目に毒だから常服探してんだ」


「常服?」



煙草を口元で遊ばせながらあれでもないこれでもないと箪笥を漁る獅郎。

というか、目に毒とはなんだ。 ただ大事な部分が隠れればいいと布切れを纏ってるだけだ。

それだけだぞ?

あ、だからだ目なのか!



「だからといって目に毒とは失礼だぞ、獅郎」


「わかってねーな?男は皆狼なんだぜ?んな、ビキニ見てーな格好してたら一瞬だ一瞬」


「なにが一瞬なんだ馬鹿」



ビキニとはなんだろうか?

まぁ常服を着るんだから別に下の服装は気にしないでいいだろ。


「ナナシこっち来い」


「ん?」


「ちょっとでけーな…お!これ丁度いいな!よし、これナナシの常服だ」


「長いなぁ」



獅郎から受け取った常服を羽織る。丈は足首まである。

てか、ボタンの数が尋常じゃないのだけど…。



「ま、いっか」


「なにがいいんだ馬鹿!てめ、ボタンちゃんと閉めろ!!さらに際どくなってんだろ!」


「窮屈だしやだ」


「我が儘いってんじゃねー!!」



問題無用でボタンを閉め始める獅郎。やだ、苦しい!!

せめて第2ボタンまで開けてやる。



「あ、あと足元は閉めたくない。動きにくいから」


「とんだ神への冒涜だな!」


「獅郎の煙草も冒涜だ!!あと、私は悪魔!!神には興味ない!!」


「つってもここ教会だから」


「えぇ!?」



驚く私を他所に獅郎はしゃがんでボタンを止めていく。

それを上からはずしていくナナシ。



「てめ、せっかく止めたのはずすな!」


「閉めんな!!」


「開けんな!!」



そんな攻防が永遠と続く。

獅郎さんうるさいなぁと不振に思った教徒達が2人の元へと足を運ぶ。

扉を開けた光景に教徒は苦笑いわするしかなかった。



「男は皆狼だっていったろ!?」


「だからって狼になるな馬鹿獅郎!!」



「うるせぇ!!」


「はなせぇやぁ!!」



アハハとわらいパタリと閉められた扉。


数分後に獅郎の叫び声が響いたとか響かなかったとか。









end


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