色染くココロ

□真夜中の晩餐
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風に靡く髪を少し尖った耳にかける。

あぁいそっう切ってしまえば楽になるかな?
髪を手に取りそんなことを思う。

しかし彼、藤本獅郎は本当に変な男だ。ヘラヘラしているようにみえて以外と真面目。

あ、でもやっぱりエロ馬鹿野郎だと思う。

それでも私を使い魔にさたり住まう場所を与えてくれた。
先程も獅郎作のだし巻き玉子なるものをくれた。

あれは本当に旨かった。

虚無界ではあまり飯を食っていなかったから久し振りに腹が満たされてポカポカした気持ちになった。

旨いと呟くと垂れた目をさらに垂れさせて嬉しそうに笑う。

そして頭を無造作に撫でるんだ。


「不思議な男だ」



そう一言で言うなら不思議な男。
教会へ悪魔を迎え入れる不思議な男。

ぼろぼろな私を使い魔にする不思議な男。



「お、こんなところにいたか!」

「獅郎!」



そんな不思議な男だからこそ興味がわいた。

だから獅郎。しばらく傍らで獅郎と一緒にいさせてくれ。


口には出さずに心でとなえた。


「ひぇ〜冷えるな」


「そうか?」


「お前足をはだけさせといて寒くないのかよ!?」


「あんまり」



獅郎が座った隣に私も腰を下ろした。

手元を覗けば酒。

獅郎って酒すきそうだもんな。


「飲むか?」


「……少し」


「ほらよ」


「……うげぇ!!苦い!!」


「にゃははは!!おこちゃまなナナシにはわからねーか!」


「おこちゃまじゃない!!獅郎よりは年上だ!!」


「あ、そーだったな」


「敬えバーカ」


「にゃははは!!」



わらってバシバシ背を叩く獅郎。
イライラを耐えて獅郎を睨む。


「睨むなよ!そんだけ長く生きてたから髪そんだけ延びたんだろ?綺麗じゃねーか。俺は長い髪好きだぜ?」


「長い髪………獅郎は長い髪が好きなのか…?」



膝に頭をのせ獅郎に聞いてみた。
一気に酒を飲み干す獅郎。
そんな私の問いにいつぞやの意地の悪い笑顔で答えた。



「俺は長い髪のが好きだ。だからナナシ切るなよ」


「……じゃぁ…切らない………」


長い黒髪を1束つかみ獅郎は髪にキスを落とす。

そして無造作に頭を撫でる。


ナナシも心地よい感触に目を閉じるのだった。












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