それはアイツ、そう獅郎の一言で始まった。
今日もいい天気だと寝ぼけ眼でカーテンを開く。
差し込む太陽の光がなんとも眩しい。
ここで1つ豆知識を言うなら吸血鬼は別に太陽が弱点なわけではない。
あ、眩しいなくらいだ。
新しい時代を生き抜くなかで耐性ができたのかもしれない。
勿論弱点が無いわけではない。聖銀の弾や聖水に滅法弱い。
かすらなきゃ意味ないけどね。
吸血鬼の凄いとこは体を自在に変えられるところ。1節では霧になれるネズミになれるなんてのがある。
実際は狼とコウモリだ。
現代では需要が少ないけど。
……おっと話がそれた。
「ナナシおはよう」
「んぁ…?おはよう」
部屋から出て皆が集う場所にはすでに獅郎が座っていた。
よっと煙草を片手に手をあげる。
「獅郎朝から元気だな。私は朝は苦手だ」
「低血圧なのか?吸血鬼なだけに!にゃははは!!」
「面白くないから」
馬鹿笑いする獅郎の頭を叩く。
獅郎の座る椅子の背凭れに体重を預ける。そして欠伸をする。
「なぁ、ナナシ今日買い物いってくんねーか?」
「買い物?」
「あぁ。俺は任務だし、長友達は教会の仕事。任せられるのはナナシだけだしよ…」
「別にいいけど?」
「よっしゃぁ!!よろしくな!」
すると獅郎は椅子から立ち上がり私の頭をひと撫でして私室に戻っていく。
「買い物……できるのか私は?」
ここに来てまだ2週間程度。
1度も教会の敷地から出たことはない。
地形が全くわからない。
今さらだが不安になってきたぞ。
「長友よ」
「はい?」
「買い物にいけと頼まれたのだけど、地形が全くわからないんだ。地図を描いてくれないかな?」
「いいですよ!」
「ありがとう」
快く頷いてくれた長友。
私がここの(獅郎)使い魔になるのも優しい顔で賛成してくれた。
うむ、優しい人だ。
「ほぉ…なかなか器用なんだな。長友は」
「そうですか?」
「うん。線が綺麗だ!!」
「あははは」
談笑していれば書き上がった地図。私が迷子にならないように目印までかいてくれた。
行き付けの店は大きく"ココ"とかかれていた。
これなら大丈夫だろう。
「これ、お金とリストね。大丈夫だろうと思いますがくれぐれも気をつけて」
「了解!」
もらっか紙を鞄にしまった。
そして獅郎の部屋を足で開けて一言。
「おまっ、足で開けんなよ」
「いってきます!!」
「……クク、いってらっしゃい」
そして私は教会から飛び出した。
途中丸田と経堂と和泉に出会った。頭を撫でながら「お使い頑張れよナナシちゃん」と言われた。
「子供扱いすんなぁ」と毒を吐いて私は頭を撫でていた経堂の腕を叩いた。
周りを見渡せば見たことないモノが沢山でテンションが上がる。
買い物成功させるぞ!!と意気込んで地図に目を落とした。
end