憂いが混ざる空の果て

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「な……に?」



私の前にたつのは見たことない男性。錫杖をもってる。
セリークとはまた違った形の錫杖だな。



「名無しさん大丈夫?僕がいながら…」


「わ、私は大丈夫ですよ!!先生こそ大丈夫ですか?」


「はい、ありがとうございます」


奥村先生がニコッと笑ったのに私は安心してニコリと笑い返す。
だが、あの青年は未だピンピンしてる。私も奥村先生の力になりたいしアイツと話をしたい。



「奥村先生…あの人って誰なんですか?」


「あれは、藤堂三郎太今回の不浄王騒動の主犯者だよ。それに上級悪魔不死鳥の悪魔落ちです」


「不死鳥」



そんなものを内に秘めてるのかあの藤堂三郎太って人。

でも、赤い炎の威力もとても凄まじい。
私を助けてくれた彼が攻撃するもその攻撃をも吸収してる。

不死鳥なだけあって不死身なんじゃないのかな。

もしかしたら不浄王なんかよりよっぽどたちが悪いのかも。



「名無しさん」


「あ、はい」


「それ、烏枢沙摩の加護を受けてるの?」


「はい!!セリークが言ってました」


「名無しさん…これから大事な話をします。その前に…」


「……?」


「戦えますか?」



本来ならお茶らけて返す場面かもしれない。
けど奥村先生の目が本当に真剣で。

あぁ、今すごいことしてるんだなって実感する。



「戦えます」


「では…柔造さん!!僕の考えを聞いてくれませんか?」


「何や!言うてみ?」



こういう時すごいなって思う。
私より年下なのに。奥村先生はそんなこと微動も感じさせない。

そして奥村先生の考えはこう。 簡単に言えば容量オーバーするまで攻撃をする。

悪魔とのその憑依体は同等の性質を持っていなければならない。

炎を吸収し続ければ、いずれ藤堂さんの肉体は憑依体の限界を超えてジ・エンドだ、そうだ。

うん、懸命な判断だと私も思う。
そして、私は鳴海さんと柳葉魚さんと藤堂さんの懐に突っ込んでいく先鋒。

私の戦いスタイルをシュラさんから聞いているのか「素早い動きなら藤堂の攻撃をうけることはありません」と言って奥村先生は私の矜羯羅の魔剣を指差した。

魔剣が小さいから近距離攻撃になる。



「嬢ーちゃんできんのかいな?制服着とるってことは候補生なんやろ?」


「いえ、彼女は訓練生です」


「はい!訓練生です!」


「なお危ないやんか!!なんで訓練生がこないなとこおんねんや……」


「私は大丈夫です。セリークもいるんで…」


「セリーク」


「はい!阿弥陀如来です」


「あ、阿弥陀如来?」


「柔造さん。名無しさんを信じてください。彼女のスピードはかなり早いので攻撃をうけることはありません。とても力になると思いますよ」


「ほーか…頼んだえ」


「はい!!」




こんなにも大事場面で私だけ戦わないなんてただの弱虫だ。


―――『私って弱虫だな…結局――しちゃうんだ。馬鹿だな…本当に…』



「っ!?」


「ボサッとすんな!!嬢ーちゃん!2人に続け!!」


「っはい!!」



その声が何を示してるのかなんて私には未だわからない。

なんだかわかりたくないよ。














end
戦闘開始!!

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