憂いが混ざる空の果て
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一歩遅れて私も藤堂の懐に潜り込む。
柳葉魚さんと鳴海さんの錫杖攻撃をあっさりと交わしてアハハと笑う藤堂。
私は振り回される2人を素早く避けながら藤堂へと攻撃をする。
「君…素早いね。捕まえられないよ」
「っ!!」
――体が小さい分小回りが効いて相手を錯乱させるのに長けてる。欠点は持久力のなさと力のなさだ。名無しはスピード重視で戦え。運動神経は良い方だからドジさえ踏まなけりゃ名無しは強くなれる。
体が小さい分小回りが効く。
藤堂が足を振り上げたのと同時に私は藤堂の足を潜り抜ける。
ほんの一瞬で背中にたどり着いた。
そして私は矜羯羅の魔剣を振りかざす。
「ふっ…!?……アハハハでもね…」
「なっ…に!うぎゃ!?」
肩に刺さった魔剣を力任せに抜いて放り投げる。
藤堂に足払いをされて地面に倒れる。変な声が出てしまったがこの際気にしないでおこう。
そして私に馬乗りになって首にてを伸ばした。
「攻撃を終えたからって油断しすぎだうがぁ!!」
『祓魔師やれ!!』
「おぅ!タヌキィ!!オン!クロダノウウンジャク!!火生三昧!!!!」
それは一瞬のこと。
馬乗りの藤堂を蹴り飛ばして私を救出してくれたセリーク。
そのあとに空高くから大きな火の塊。
それが藤堂に当たると森は大きく揺れた。
爆風に巻き込まれて飛ばされそうになるのをセリークの着物に捕まり必死に耐えた。
『ドジ小娘』
「うっさい!!」
『矜羯羅の意を知っているか?』
「はぇ?」
『……「何をすべきかを問い、その命令通りに動く」だ。キリークから聞かなかったのか?』
「……あはは、は?」
チッと舌打ちをしたセリーク。あまり聞いていなかったのだから仕方がない。
スカートについた砂を払い矜羯羅の魔剣を構える。
藤堂は炎を大きくして更なる猛威を振るう。
「くっそぅ…」
私は役に立っていない。
どーしたら…
《どうして欲しい?申せ》
「は?」
《早ようしろ》
「え…っえと、もう少し刃を長く藤堂に届くように…」
《その命令聞き受けよう…》
「うわっ!?」
声の主を発見する前に魔剣が姿を変えた。
まるで1羽の鳥のよう。
大きな翼を広げたような鍔。
刀の刃も長くなりこれで藤堂に届く。
「よし!!」
『俺は真言を唱えるのに集中するからな!』
「うん!!」
こんなに使い守護神様たちに良くしてもらってるんだから私ももっと頑張ろう。
意を決してまた藤堂に突っ込んだ。
オマケ
「兄上、兄上」
「なんだ?」
「今日は青のチェックらしいです。戦いに似つかわしくないガラですね」
「なにっ!?チェックだと!!私も見たいゲフンゲフン…実にけしからん!!」
end
絶対パンツは見られてると思います。名無しさん。