憂いが混ざる空の果て

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ここを知ってる。

目が覚めた私が目にしたのは小さな自分。

小さな自分はお母さんと手を繋いで遊んでた。

それは楽しそうに。


『わたしもお母さんみたいになりたい!!』


『名無しなら直ぐになれるわ!だって私の娘だもの』


『うん!!』



小さな自分はお母さんに頭を撫でてもらって嬉しそうだ。


「っあ!!」


手を伸ばしてしまった私。
そしたら場面が急に変わった。

「っ!!な、んで…」



それは余りにもひどい光景だ。
父がお母さんを殴っていて、ピクリとも動かないお母さんをずっとずっと殴ってて。

台所の隅っこで私は父が暴力を振るうのを怯えながら見ていた。

『お前が悪いんだ。お前が、母さんを殺したんだ。お前さえいなければ…』


なんで私を見ながら罵倒するんだろう。

私はあなたとお母さんの子じゃないのかな?

今の私は静かにその光景を見ているしか出来なかった。


『お前が産まれて母さんは変わったんだ。お前が俺から母さんをとったんだ?わかるか?独り占めにされたんだぜ?』


今思えば父はお母さんを心底愛していた。歪んだ愛情じゃないか。狂愛とでも言うべきか…。




そしてまた場面が変わる。


それは、今の私に限りなく近い私。そんな私はたくさんの女子にかこまれていた。そして…

――……パチン

あぁ、知ってる。

私の友達がいじめられてたんだ。だから私は力一杯友達を支えてあげたのに。



『アンタなんか、アンタなんか…――じゃえ!!』



帰ってきたのはあたしに対するいじめだった。


あれ?


残像がすごい…。
前が見えない…。

微かに見えたのは真っ赤な私。



『私は』


「私は…」



「私は…私を――…」



ザザザァ――……



「……っ…わた、しは…」


「名無しさんっ!!」


「あ…奥村…先生?」


「大丈夫ですか…!」


―――『フフっ…アナタお母さん殺したんだって?』

『かわいそー……あなた人殺しじゃーん!!』

『アハハハ』


耳障りな音

笑い声



―――……疲れた



バタッ…



「名無しさん!!」


「どないした!?」


「名無しさんが…早めに切り上げましょう」


「おん!!」


「おっくむーらくーん」


「っ!!」








まだ終わりはしない

私の悪夢




end

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