憂いが混ざる空の果て
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あれから私は真っ暗な場所にいた。
ただ何が見えるでもなくてボヤーとしてるだけ。
全部思い出したら何だかんだで受け入れることができた。
自分ならやりそうだと思う。
だって私は弱い人間だから。
「嬢ちゃん!!」
「あ、神父さんだ。お久しぶり」
「なんでまた戻ってきたんだ!?」
「さぁね。あ、神父さんが言ってた私が犯した罪わかったよ」
「……」
「私は私を殺したんだよね?」
そう。
私は私を殺した。
父が言ったあの言葉。
『お前が母さんを殺したんだ』
その言葉私から私の人生を奪った。一生苦しめた。
高校生になって強く生きると決めたのに。
最後まで私は私を許せなかった。逃げたんだもん。
「神父さん私は何のためにあっちの世界へつれてったの?」
「お前の母ちゃんに頼まれたんだよ」
「お母さんに?」
「私のせいであの娘の人生を奪ってしまった。できるならあの娘に幸せを感じさせてあげてってな。なのにお前はまた戻ってきちまった」
「お母さん、が?」
「そうだよ…お前燐に言ったよな?」
「え?」
「悲劇のヒロイン気取るなって…まさにお前だよ。お前も気取ってる。自分の境遇ばかり不幸だとか思いやがって…」
「気取ってない!!…私は、私は…」
「ならなんで殺したんだ?その境遇跳ね返すくらい強くなろうと思わなかった?」
「強くなんて…なれないよ!」
神父さんめ、私の前に現れてまたそうやって変な話をするんだよ。
だったら私をこっちの世界にやるなよ。
なんでこんなところで大泣きしなきゃならないんだ。
「母ちゃんに見せてやってくれよ。だから勉強させたんだ。あっちの世界じゃ勉強にならなかったか?」
「勉強に……」
こっちの世界にきてから。
悪魔が普通にいていつも危険となりあわせ。
死を意識しなきゃならない祓魔師が沢山いて。
私より年下の高校生が死を意識した任務をこなしていて。
「母ちゃんは命を大切にして欲しかったんだとよ。……泣くほど後悔か?」
「う…ぐっ…私は…私は………っ」
どれだけ重大なことをしたんだ。私は自分で自分を苦しめてたのか。
逃げるのは簡単だ。相手にすべてを押し付けてしまうから。
自分は悪くないって責任を押し付けてなかったことにして。
誰が一番愚かなのか一目瞭然だ。
「だからあっちの世界にやったんだけどよ。お節介だったか?」
「うんん…っ…私もっと強くなりたい…逃げたくない………」
もう、絶対に殺したくない。
体も心も。
「お前知ってるか?」
「ふぇ…」
「燐と雪男はよ、魔神の息子だ。それでか雪男は小さい頃から悪魔が見えてよ。あいつは祓魔師の道に進んだ。弱い自分を奮い立たせてな。燐を守るんだってよ」
「奥村先生が…」
「燐もだ。アイツは昔から悪魔だなんだのっていじめられててよ。それでもアイツは死ななかった。お前と同じ境遇だぜ?けど、燐は優しいことのために頑張りたいんだとよ」
「強いなぁ…」
「強くなりてぇなら強くなりゃいい。回りに頼りながら」
「……周りを、頼る…」
なんだか、すっごく軽くなる。自分を殺してしまったのは変えられない事実だけど。
けど、それに埋もれてちゃダメなんだ。
せっかくお母さんが、神父さんがくれたもう1つの命。
燃え尽きるまで強くありたい。
「唐突だけどお前、恋とかしてんのか?」
「へぇ!?」
「いや、なんとなく?」
「し、してないし…!!」
「なら、燐と雪男どうだ?」
「どうだって…」
「燐はバカ強いがいい奴だし雪男は頭よくてリードしてくれるし…」
「いや、いや…私は…!!」
「おっーと…時間もねーな…。さて、お前の覚悟のほど見せてくれよな?」
「ハァ?」
「もうこっちくんなよ!!」
手を降る神父さんが霞んでいく。
次に見えたのは藤堂に銃を打ち込んでる奥村先生。
止めなきゃ、あんなの奥村先生じゃないよ!
「おく、村先……。落ち着いてください」
ギュと抱き締めたら感じる温もりと奥村先生の匂い。
違う。
率直に思った。
もっと甘い匂いがいい。
「ん?そーいやアイツ。もう1つのどこやったんだ?弱々しい魂しかなかったけどよ…」
「まぁ、アイツは大丈夫だろ」
「アイツは名無しは強くなる…」
end
ギャグに戻すぞ!
不浄王編終了しました!!