憂いが混ざる空の果て
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[アマイモンと一緒に学園内を見学してきてもいいですよ?言わずともわかると思うがアマイモンは生徒に見られぬように]
[ワーイ]
てな会話を聞いたのが五分ほど前。そしていまは兄上さんのいう学園内の屋上にアマイモンに米俵のように抱えられながらいた。
「た、高い……」
「落としますか?」
「なんでそうなった!?」
「なんとなく?」
なんとなくと言っておきながら回した腕の力を抜くアマイモン。
ヤバイとアマイモンのジャケットを掴む手に力をいれる名無しにアマイモンは楽しそうに目を細めた。
「建物は豪華…兄上さんはお金持ちなんだぁ」
「ハイ。よくばくだん焼きを大量に買ってくれます」
「へぇ…」
「では、名無し。学園内を見に行きますか?」
「え?あ、っぎゃぁぁぁぁ!!」
屋上からアマイモンは地面へと急降下。
はやいぃ!!と叫びながらアマイモンにしがみつく名無し。
アマイモンは気にもとめずひゅーんと言って着地をした。
……華麗な着地だった。
「はぁっ…はぁっ…死ぬ……」
「死にたい?死にたいんですか名無し?ボクがひと飲みにしてあげますよ?」
「いいいりませんよ!!」
真顔で口を開けてせまるアマイモン。
名無しはアマイモンの額を軽く叩いてそれを制した。
「ボクを叩きましたね…ヘドロにしてやる」
「あぁ!ごめんなさいぃ!!」
「名無しにはぷらいどとか色々ないんですか?」
「命には変えられないんで!」
てをあげたアマイモンに素早く土下座をした。
呆れたように土下座をした名無しを見下ろすアマイモン。
「てか、アマイモンさん。入って大丈夫なんですか?アマイモンさん見られちゃいけないんですよね?」
「今は授業中らしいです。兄上がいっていました」
そう言って自由に歩き出したアマイモンさんの後を慌てて追いかける。
「あれ?アマイモンさん今は授業中ですよね?」
「ボクが信用できないんですね?早くいってくれれば丸のみにしたのに」
「信用してますよっ!!食べようとしないでください!って、ほらあそこに人いたから…」
「っ!!」
その人を見たあとアマイモンさんを取り巻く雰囲気がガラリと変わった気がした。
どうしたのかとジャケットを引っ張ってみた。
アマイモンさんはその手をゆっくり払ってその人が寝そべっている木に近寄る。
「アマイモンさん駄目ですよ!兄上さんに怒られる!主に私が!!」
「オクムラリン……っ!!」
「オクムラリン?っわ!!」
アマイモンは急に走り出した。
いつもと違う血の気の多いアマイモンを追う名無し。
木の下の少年は寝ているようでアマイモンには気づかない。
「アマイモンさん駄目ですよ!行きましょ!」
「メス豚は黙ってください。殴りますよ?」
「辛辣!?ばくだん焼きを買いに行きましょ?見学は後日行きましょ?」
アマイモンのてを優しく両手で包み微笑む名無し。
そんな名無しを見たアマイモンは先程の雰囲気とは代わりいつもの雰囲気を纏っていた。
少してを握る力を強めたアマイモンに引かれるように正十字学園を後にした。
「ほぅ…アマイモンを制したか。やはりあの娘ただ者ではないな…」
窓から二人を見るメフィストの顔はいつになく楽しげだった。
end