憂いが混ざる空の果て

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「医工騎士、手騎士、詠唱騎士…か」


「名無しは頭が悪いから無理ですよ」


「ひどい!!ひ、ひどいけどそうなんだよな…」



ソファーにねころがるアマイモンさん。呑気でいいなぁ。

うーんとうなっていると兄上さんが1枚の小さな紙を渡してきた。


「手騎士はあまり頭を使うことはないと思いますよ?」


「なんて言って呼ぶんですか?」

「思い付く言葉でいいんですよ」


えぇー…。平成現代っ子が悪魔召喚なんて無理にきまってんじゃん。

魔法円の描かれた紙をぼやっと眺めてみた。

兄上さんのあつい視線を受けながら。



「なんですか兄上さん?」


「はやく召喚しなさい」


「えぇー…。じゃ、でてこいやぁ!!」


「馬鹿にしてるんですか?」


「真顔こわ!?ま、まじで怒んないでくださいよ!」



兄上さんの冷たいマジな感じの目付きが私に刺さる。

こーなったら早くなんか出てこい!!そして私をツンドラ地帯から助け出して!



「……」


「……」


「……でませんね」



バリッとアマイモンさんのお菓子を噛んだ音かやけに大きく聞こえた。


数秒見つめてみたけど変化なし。略図をポイッと捨てて詠唱騎士の本をとった。



「医工騎士は本当に無理だから……詠唱騎士だけですかね……」


「っ兄上!!」


「なんだ?っ!?」



慌てた2人の方を向けば、私が捨てた魔法円の略図が青白く光っていた。

刹那、どこからともなく突風が吹いた。

強すぎる風に後ろに倒れそうになる。しかし倒れる直前に腕が引かれた。

腕を引いたのはアマイモンさんで略図を鋭い目付きで見つめる。
マントで私とアマイモンさんを守るように靡かせた兄上さん。



「ア、アマイモンさん?どーなって…っ?」


「わかりません。けど、略図から凄い力を感じます。また名無しは厄介事を増やしましたね…」

「わ、私のせい?っ…わぁ!?」


「名無しさん!」


「名無しっ!!」



アマイモンさんに腕を引かれていた筈なのに急に視界が暗くなり、後ろに気配を感じた。

まだふんわりと漂う風が私の髪を掠めた。



『私を呼んだのは貴女様ですね』

「うんそーだけどさ…真っ暗でなんにも見えないや…」


「名無しを放してください。殺しますよ?」


「アマイモン落ち着け…これは大物がつれたぞ!」


「兄上?」



兄上さんの声が今日一番に嬉しそうな声音にかわる。

あ、今の兄上さん気持ち悪いくらい口元つり上げてるに一万円賭けます!!









end

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