憂いが混ざる空の果て

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「貴方みたいな大物がなぜこんな小娘から召喚されたんです?」


「小娘って私かっ!!私の事か!!」


暗闇が続く。
なんだか怖くなってきて声を荒げてしまった。

1度どこかで感じたことのある暗闇。

私は明かりを求めて見えないけど手を伸ばしてみた。



「返してください」


『なにをするっ!!』


「名無しが怖がっています。じゃじゃ馬ですが一応女なので」

「アマイモンさん?」



むっちゃシリアスだったじゃん。じゃじゃ馬とか言っちゃ空気こわれるじゃん。

けど目の前が明るくなったからよしとしよう。

まだなんとなく怖くてアマイモンさんのジャケットにしがみついた。

横目でさっきまで私のいた場所を見てみた。



『主…怖がらせてすいません。私は主が呼び出した悪魔…いや、守護神だ。誠にすいません』


「守護神?」



私とアマイモンさんの前でかた膝をつき踞る仮守護神さん。



「さて私の質問に答えてください」


『主からは見たことも感じたこともない力がある。全てを司り統べる力をもっている。私にはそれがわかる』


「ホウ…」


「名無しやっぱり厄介事好きですよね?」


「私が好きなんじゃないよ!?ハプニングが私を好きなんだよ!」



どこからどー見てもただの人間にしか見えない。
アマイモンさんや兄上さんみたいに耳や歯がとがってるわけでもない。

ただ言えるのは神聖な雰囲気を纏っていること。



「てか、私そんな凄い人違う」


『いや、主は並外れた力量の持ち主だ。私を…七梵聖天神を呼び出すことができたのだから…』


「七梵聖天神?」


「兄上なんですかそれ?」


「千手観音(キリーク)虚空庫菩薩(タラーク)踏殊師利菩薩(マン)一切平等建立如来(アン)勢至菩薩(サク)最高顕広明眼蔵(バーンク)阿弥陀如来(セリーク)単体なら聞いたことはあるだろう?」


「聞いたことある。阿弥陀如来とか千手観音とか!!」


「でしょう」


「で私が召喚したのは?」


『千手観音(キリーク)、守護天神長』

「千手観音?」



千手観音ってあれだろ?手が千本あるって言う……。

2本しかなくね?
手2本しかなくね?

ガセじゃね?



「名無しさんその顔気持ち悪いですよ?叩いても?」


「却下しまいだだだだ!!」


『貴様主を叩くなど死して詫びろ』


「叩いてんじゃないよ!!関節技だよ!」


『ム…関節技?覚えておこう』


「覚えなくていいから助けてぇ…!」


『御意に』



私が召喚したのは悪魔…いや守護神。

またひと嵐来そうだなこりゃ…。









end

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