憂いが混ざる空の果て
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とうとうやってまいりました。
あのあと渋りに渋ったけど兄上さんが「ホウ…そんなに着せてほしいんですね?」なんて言って黒い笑み浮かべて今世紀最大の恐怖をかんじました。
そんで、摩訶不思議な鍵を使って塾に続く廊下を歩き中。
「あり、手ぶらだ…大丈夫かな?てか!どこいけばいいんだ!?わかんなーい!!」
ちくしょーう!!なんて言ってしゃがみだした名無し。
頭を抱えて踞っていると頭上から声が降ってきた。
「廊下の隅でなにしてんのよ?邪魔になるでしょ?」
「か、神木さん!!」
「えー…と…ごめんなさい」
「見ないかおね」
「塾の新入りさんかな?」
声をかけてくれたのは女の子二人組。
一人はツインテールでちょっとツンツンしてる。
もう一人はずっと笑顔でおっとりしてる。
二人とも可愛なぁ…。
「迷子なの?」
「あ!!そう迷子なんだよね…」
「教室にいきたいの?」
「うん。祓魔塾の教室にいきたいんだよね」
「ふーん。新しい塾生ね。奥村先生読んできたほうが良さそうね」
「あの…お願いしてもいいかな?」
「……」
ツンツン少女は答えてくれなかったけど小走りでどこかにいってしまった。
奥村先生を呼びにいってくれたのかな?
そうだといいな。
「あの!」
「え?」
「わわわ私杜山しえみっていいます!!友達になってください!!」
ガバッと頭を下げて手をこちらに出す杜山しえみちゃん。
すごく必死なのが伝わってくる。
「無名名無しです。よろしくね?」
手をとり握手すれば杜山しえみちゃんは花が咲いたように笑った。
彼女は絶対に癒し系に違いない。げんに私の心は彼女の笑顔でホンワリしていた。
「杜山さんは可愛ね。花みたいだ!!」
「し、しえみでいいよ!えへへ、お花好きだからそういわれると嬉しいな…」
「……っ!!」
な、なんだこの破壊力は!!
照れたように頭をかきながら笑うしえみちゃんはまさに天使。
思わず頭を撫でてしまいそうになった。
「無名さん!!」
「奥村先生!!」
「迎えにいくつもりでしたが先に来てたんですね?」
「す、すいません。兄上さんが早く行けって…」
「気にしないでください。では、一緒に教室にいきますか」
「お願いします。あ…先生よんできてくれてありがとね!!」
「べ、別にあんたのためじゃないから!!」
「いやいやあなたのおかげで助かったから!!本当にありがとう」
「神木出雲」
「え?」
「あなたじゃなくて、神木出雲よ!!あんたは?」
「無名名無し!よろしくね!!神木さん!!」
「ふん」
初日に出会ったのは可愛らしい女の子。
私が男だったらナンパするね!!
end