憂いが混ざる空の果て
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昨日の夜のアマイモンさんは変だった。
いや、何が変なんだとか聞かれたら答えがわからないんだけど…。
「か、かっこよかった…?」
「名無しさん?」
「あ、いや…すいませんでした」
「では気をとりなおして…屍系の魔傷にに当てられた場合、短時間で体内に周り最悪命を落としてしまいます。そうさせないための応急処置として…………」
奥村先生…悪いんだけど頭にいっこも入らないんだ。
頭一杯にあるのは昨日のアマイモンさん。
やめやめ!!今は勉強に集中!
奥村先生は秒単位で働いてるすごい人なんだ!!わざわざ時間とってくれたんだからさ!
「というわけです。要点をノートにまとめてください。次は毒素のある薬草の活用法です」
「はい!!」
「赤葉草またの名を毒霜草といいます。もちろん毒素もつよいですがある薬草と調合すれば万能薬になります。なにかわかりますか?」
「アマイモ……っ!!あわわわ!!えーと…たしか音切草と天荵草?」
「正解ですね!……アマイモ?」
「気にしないでください!!」
「名無し〜!」
「ぶふぁっ!!いったぁぁぁ」
「なに余所見してんだ馬鹿」
「シュラさん痛い!!」
「愛の鞭だにゃ〜つか、実戦してんのに余所見すんな。悪魔と闘ってたら即死だぞ?」
「うぅ…すいません!」
「名無し。調子悪いのか?」
「え!?」
「ずっとポケーっとしてるし…もしかして恋かにゃ〜?」
「こ、恋!?」
「え!?ばばばばばちげっーし!!」
いち早く反応した燐君はさておきシュラさんのその厭らしい笑み叩き潰したいなんて思ってないです。
にしし〜と私に詰め寄るシュラさん。私は持っていた木刀を構える。
「名無し!恋してんのか!?」
「ししてない!してないから!!」
「慌ててるぞ〜?あーやーしー!!」
「だ、誰なんだ!!言ってみろ…あ、俺!?」
「「生言うなよ」」
「でっすよね〜」
アハハ…ショボンとする燐君。
シュラさんに一手次の一手と攻撃んする。
でも全部なんなくかわされる。 悔しくなってガムシャラに攻撃するけど掠りもしない。
「名無し攻撃が大振りすぎんだ。お前の魔剣は小さいんだ、そんなんじゃ当たんないぞ!」
「わかってます!!」
あぁ…もう!
アマイモンさんのことで頭が混乱して、授業も上手く聞けなくて、シュラさんとの実戦もできなくて。
なにもかもに躍起になって私は内心苛立ちを隠せない。
八つ当たりなのはわかってるけど、どうしようもないのだ。
「なに躍起になってるんだ」
「もぅやだぁ〜……」
「ハイハイ…落ち着きましょーね〜」
「うぅ」
シュラさんは豊富すぎる胸に私の頭を押し付けた。
そして優しくポンポンと頭を撫でてくれた。
なんだか、落ち着く…。
「なんだかしんねーけど…私情挟むにゃ〜。祓魔師になったらそんなわけにもいかないんだからにゃ?」
「すいません…」
「落ち着いたらまた始めるからな」
「オッス…」
「よろしい」
こんなとき剣術指導がシュラさんで本当によかったと思う。
鼻の奥がツーンと来る。
泣かないようにさらに強くシュラさんに抱きついた。
笑って頭を撫でてくるシュラさんに今だけ少し甘えさせてください。
end