憂いが混ざる空の果て

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「では、兄上名無しを連れていきます」


「あぁ。名無しさんにアマイモンをつけます☆死ぬことはありません☆」


「ソウッスか…」


「なんて顔してるんですか3割型不細工になってますよ?」


「うるさーい!!」



兄上さんのマントをひっぱってやった。
「くるしぃ」って悶えてるけどはなさない。



「名無し兄上が死んでしまいます。行きますよ」


「へーい」



マントを放してアマイモンさんの首に腕を回した。

アマイモンさんはソファーから大きくジャンプして森に降りた。


「相変わらず不浄王は臭いですね」



器用に鼻を摘まむアマイモンさん。私にはあまり臭いは感じないがアマイモンさんはよく感じるらしい。

悪魔だもんね。


森を駆け抜けるアマイモンさん。
辺りを見渡す。特に変わったことはないけど一つ何かを見つけた。
ボンヤリと赤い炎を体に纏い座っている青年だ。

アマイモンさんも気付き動きを止めた。



「大丈夫なのかな?燃えてる」

「あれは悪魔落ちです。だから燃えてるんじゃないですよ」


「悪魔落ち…あれが」



教科書に書いてあった。

人間が悪魔に落ちるのは精神に何らかの異常をきたした場合。

弱味に漬け込まれて悪魔落ちするんだそうだ。



へぇ〜見た目は人間なんだね。耳と角がはえるんだ。
私は悪魔に落ちたりはしたくないな。


すると下を向いていた青年だはゆっくり顔をあげて笑いだした。

そしてゆっくりとした動作でこちらを見た。



――――――ゾクッ



「っ!?」


「名無し離れましょう」


「あ、アマイモンさん!…っ…」


「おもしろいね。君達は一体そんなところで何をしているんだい?」



青年は炎を揺らしながらこちらに歩いてくる。

私はアマイモンさんからおりて咄嗟に矜羯羅の魔剣を取り出した。
すると青年は「おっ」と声を出してニヤリと笑った。



「君は誰だ判らないがおもしろいものを持ってるね。すごい量の"力"を感じるよ」


「名無し試験内容は不浄王を倒すことです。行きましょう」


「あ…っ…」



足が震えて仕方なかった。
青年の目が全てを見透かすように私を見る。

そしてゆっくり私に近づく。



「君の中には"2つ"いるんだね。なんでだい?」


「名無しっ!」


「名無しさん!」



ドンドン!!


聞こえた音に驚いて倒れそうになる。

後ろにいたアマイモンさんが支えてくれた。
ポンチョをまた羽織ったのか姿が見えなくなっていた。



「あぁ…当初の目的を忘れるところだったよ」



私の方に向けていたからだを反転させる。

先にいたのは奥村先生だ。


一体どうなるのだろう。
矜羯羅の魔剣を私はギュッ都にぎった。









end

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