憂いが混ざる空の果て

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青年に恐怖を抱きおののいていると肩にトンとアマイモンさんのてが乗る。



「少し兄上のところに行きますよ。名無しはどうしますか?」

「……っ…少しだけここにいる。奥村先生が大丈夫そうなら不浄王討伐に向かいます」


この青年も一番防御の高い牢屋も私に"2つ"といった。

他にもなにか知っているようだった。私はこの青年に聞きたいことが山程ある。



「気をつけて」



最後に頭に手を置いてアマイモンさんの気配がなくなる。

戦闘開始したふたりに目を向けながら少しずつ後ろに下がる。


ボッ


「え?」



草むらに隠れたら矜羯羅の魔剣に火が灯る。

あわわっと慌てているとまたボンッと音がした。

次は煙と共に聞こえた。



「キリーク…?」



後ろにいたのは私の使い守護神のキリーク。
なんだけどキリークにしたら目付きが悪くて髪の毛も真っ黒。
キリークは綺麗な茶髪だったはず。



『阿弥陀如来セリークだ』


「阿弥陀如来…」


『主になるやつがいると聞いた。どんな強者かと思えば…ただの小娘ではないか』


「っ…!!」


『矜羯羅の魔剣に鳥枢沙摩の加護を受けたようだがまだまだ弱い。貴様死ぬぞ?』


「な!?」



セリークはどこからか取り出した錫杖を名無しの首もとに押し付ける。

名無しは目を見開いたあとにセリークを睨んだ。



「私は弱くない。今日のために沢山頑張ったんだ。力を貸す気がないなら消えて」



ギリッと奥歯を噛んでセリークの持っている錫杖を押し返す。


そうだ。ビビってる暇はない。 奥村先生を助けなければならないし、不浄王を倒さないといけないのだ。


私は震えていた足に力をいれて立ち上がる。

矜羯羅の魔剣をセリークに向ける。



「力を貸して!セリーク!!」


『(吹っ切れるのが早い…面倒くさ)仕方あるまい』













end

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