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□Outer Science
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咲き誇る無数の紅い華。
その花弁はじわじわと広がり、辺りを埋め尽くしていく。
また一つ、また一つと。
その紅い華の中心にいるのは。
倒れている最愛の仲間達。
ああ、神様。
どうか夢だと言って。
この紅い華も、息をしていない仲間達も。彼の笑い声も。
みんな。みんな嘘だと言って。
「・・・ねぇ、セト、どうしたの?まだ昼間だよ?もう目瞑っちゃって・・・」
私は緑の繋ぎを尻目に、彼と同様に他の皆へ呼び掛ける。
「・・カノ、も・・・っ、寝るにはまだ早いよ?キドも・・・皆・・?」
私がいくら問いかけても、返事をするどころか眉一つ動かさない。
「・・・・・・・ねえ、皆・・っ返事してよ!!お願いだからあああああああっ!!嫌ああああああああああああああああああああああっ!!!」
絶望を混ぜた絶叫と共に、私は地へと膝をつく。
私はただ叫ぶ。叫び続ける。
目の前の仲間の死を拒む様に。
嘘だ、嘘だと否定する事しか私には出来ない。
拒んで。拒絶して。全部嘘だと。
なんて都合の良い頭なんだ。
すると、彼はまた笑う。
死を弄ぶかの様に。
「まだ受け入れられないのか?お前の仲間は全員死んだ。ただそれだけだ。」
知っている。知っている、けれども。
ー認めたくないー・・・
皆まだ生きてる。
また皆で遊んで、お喋りしながらご飯を食べて・・・
・・・・・・笑いたい。
そんな叶わぬことを思いたかっただけ。
少しでもこの現実を抹消しようと。
途端、彼がコツリ、コツリと一歩一歩、最愛の仲間に近づいたかと思うと。
「・・・人間って本当に弱っちいんだな?銃や刃物の一つでぷつっ、で肌が切れて血が出てさ。それで終わりだぜ?今までの人生、全て皆無になるんだな。」
そう言うと彼は仲間達を闇雲に蹴飛ばす。
ああ、やめて。それ以上何も言わないで。何もしないで。
そう叫びたい。だが声が出ない。動けない。
・・・・・・・情け、ない。
そう何にもならない言い訳をし、私は項垂れる。
「・・・どうした、足がすくんじまってるのか?情けねぇな、仲間がこんな目にあってるんだぜ?まぁ、もう痛みなんてもんは感じてねえと思うけど。」
ああ、やめて、それ以上皆を傷つけないで!!
そう言葉の代わりに涙を流す。
何も出来ない、無力な私は。
ああ、神様。
返して。皆を。
そう心の中で嘆く。
精一杯の、抵抗。
だが、私の気持ちは神様ではない人に伝わってしまった様で。
その仲間の一人にそっくりな容姿の彼は、微かな笑みを顔に張り付けると、こう勝ち誇った様に私へ告げた。
「受け入れろよ、これが運命だ」
その後のことは覚えていない。