花とゆめ・LaLa
□あなたがくれた名前
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そんなことを思いながら私はいつものように
森の奥にある大きな一本桜の木の枝に乗っていると、
若い男の声とへんてこな声が聞こえてきた。
「ったく、ニャンコ先生…
こんな森の奥まで何の用があるんだ??」
「お前に会わせたい奴がいるんだ。
名前はないらしいんだが…
この森の生命に作られた者でな、
森の呪縛でこの森から出れないんだ。
しかし、先週…この森がある地域全体で
工事がおこなわれることになってな…
そいつの行き場がなくなってしまうようになったんだ」
…この森が…人間の町になるという噂は本当だったのか…
「何だかんだ言っても…
この森は私を育ててくれた森なのに…」
私はそう思いながら空を見あげた。