贈り物。
□Goodbye?Thank you from now on.
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「…あー…。」
どーしよっかなー、俺。
河原に寝転び空を見上げる。
「…はあ。」
言葉になんて出来ない感情が心の中を渦巻いている。
これから、どうしようか。
新八や神楽には言うか…?
いや、でも心配をかけたくない。
なら、ヅラ達に言うか?
彼奴らの悲しそうな顔はもう見たくない。
沖田君…
沖田君には…?
どうしよう、そうあれこれ悩んでいると
「だーんなっ♪」
肩が跳ねた。
焦って沖田君を見ると、俺の反応が予想外だったのか、沖田君は目を丸くした。
「気づかなかったんですかィ?珍しい。」
本当に、驚いた声で言う沖田君。
「総一郎君。」
心配はかけたくないんだ、だから…
隠そう、誰にもばれないように。
この事実を隠してしまおう。
俺の心の中にだけ、とどめておこう。
「旦那、総悟でさァ。…所で、こんなところで何してるんですかィ?」
沖田が俺の顔を覗き込む。
そして、俺の横へちょこんと座った。
「…気分?」
「なんで疑問系何ですかィ?なんかありやした?」
ギクッ。冷や汗がたらり、と垂れる。
どうしよう、こいつは変なとこで鋭い餓鬼だ。
俺が嘘ついてもすぐにバレる。
多分、いや絶対。
あの、俺と同じ赤い目に見つめられると俺の全てを見透かされている気がして。
「何もねえよ。沖田君こそどうしたの?こんなとこで、またサボり?」
何も聞かれない事を祈って、無理やり話題を変えた。
沖田君は、少し目を細めて俺を見た後、顔を川へ向けて呟いた。
「何も、教えてくれねぇんですかィ?」
ーその言葉が俺に届く事は無かった。
「え?なんて?」
「なんでもありやせん、見廻りの途中ですぜィ。」
「そ、ちゃんと仕事しなきゃ俺見てえになんぞー?」
沖田君の頭に手を置いたおき、グシャグシャと撫でると沖田君は心底嬉しそうな顔をした。
その顔に少し罪悪感。
ーごめんな沖田君。
「じゃあ、俺そろそろ行こうかな餓鬼共が待ってっし。」
「〜っ!旦那!」
クイッと、袖口を引っ張られた。
なんだ?と沖田君の方を振り向いた。
が、その時にはもう、俺と沖田君の距離は0cmになっていた。
「っ!」
「旦那ァ、今度家行ってもいいですかィ?」
ペロリと舌を出してイタズラが成功した餓鬼の様な顔をした沖田君。
「いつも、そんなこと聞かねえで来るだろ?」
そう言ってヒラヒラと手を振って万事屋へと足を向けて歩き出す。
ああ、揺らいでしまった。
俺の中の覚悟が、少し揺らいだ。
沖田君ともっと一緒に居たかったな。
そう、心底思った。
ー治療法は、まだありません。
医者の言葉が頭を支配して…
悔しさにギリッと唇を噛み締めた。
沖田君、沖田君…沖田君っ!ごめんな…本当、ごめん。
万事屋へ向けていた足を止めて、俺は、別の道へと歩みを進めた。
ーありがとう。