story

□六月の庭
1ページ/1ページ


六月の庭の緑の葉は艶やかに、晴れた空の朝の空気に溶け込んで

白のレースのカーテンからは、優しく淡く、明るい光が辺りに広がる。


まだ、布団にまるまって、朝の光を遮って眠る君をコーヒーでも飲みながら待っていよう。


君の真似して口に運んだコーヒーだけど、やっぱり苦くて、砂糖とミルクをたくさん入れた。






 

そろそろクローゼットからスイカ色のワンピースでも出してこようかな。










「夏にはふたりでどこにいく?」




四角いテーブルの上に広がった、本を眺めて

昨日の夕方、時がとまりそうなどこか懐かしいオレンジの世界にいた、君の優しい微笑みを思いだし

ふと、口元がほころぶ








  

廊下が軋む音が、向こう側から聞こえてくる。
まだ眠そうな君が起きてきた。




朝のひかりに君の髪が透き通る。






やわらかな色をした、愛おしい姿。







掠れた声で「おはよう」という君に、私も言葉を返す。


「おはよう」



白いマグカップにコーヒーを注ぐ君

コーヒーの香りがたつ、いつもの朝



はちみつトースト、ふたりで食べよう。

それから木漏れ日が差す緑の木々の下を散歩して、昨日の話のつづきをしよう。


夏への想いをふたりではせて。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ