story
□六月の庭
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六月の庭の緑の葉は艶やかに、晴れた空の朝の空気に溶け込んで
白のレースのカーテンからは、優しく淡く、明るい光が辺りに広がる。
まだ、布団にまるまって、朝の光を遮って眠る君をコーヒーでも飲みながら待っていよう。
君の真似して口に運んだコーヒーだけど、やっぱり苦くて、砂糖とミルクをたくさん入れた。
そろそろクローゼットからスイカ色のワンピースでも出してこようかな。
「夏にはふたりでどこにいく?」
四角いテーブルの上に広がった、本を眺めて
昨日の夕方、時がとまりそうなどこか懐かしいオレンジの世界にいた、君の優しい微笑みを思いだし
ふと、口元がほころぶ
廊下が軋む音が、向こう側から聞こえてくる。
まだ眠そうな君が起きてきた。
朝のひかりに君の髪が透き通る。
やわらかな色をした、愛おしい姿。
掠れた声で「おはよう」という君に、私も言葉を返す。
「おはよう」
白いマグカップにコーヒーを注ぐ君
コーヒーの香りがたつ、いつもの朝
はちみつトースト、ふたりで食べよう。
それから木漏れ日が差す緑の木々の下を散歩して、昨日の話のつづきをしよう。
夏への想いをふたりではせて。