一夜物語
□闇の中の居場所
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「なんなんだよ!!」
くそっ!!と言いながら、男が壁を蹴る。
「あっ・・・」
道から荷物を持った少女が出てきた。
男はそれを見て、ニヤァーと笑った。
「いいもんみつけたぜ。」
少女は怯えた顔をする。
「お前俺の遊び相手になれ!」
男が少女の手を取る。
「痛っ!?」
「おじょーちゃん、こっちおいで」
「イヤっ!!」
少女が、抵抗する。
カスッ
少女の蹴りが、男の頬をかする。
「いってーな、くそ蓋がっっ!!」
ドスっ
「ぐはっ?!」
男が少女の腹を蹴る。
「調子に乗るとこーなるんだよ!分かったかぁ?!バーか!ぎゃははは・・・・あ?」
トスっ
「僕は、おじさんの方が、うるさいと思うよ?」
ドタンっ
男が何もしていないのに倒れた。
いや、早すぎて見えなかっただけかも知れない
「もー、せっかく頑張ってきたに・・・。おじさんが、調子に乗るから行けないんだよ?また、旅に出なきゃ・・・。」
はぁ・・と少女はため息をはく。
「僕は何でこの世界に生まれたんだろ?もう、疲れたよ。」
少女は、血だまりから立ち上がる。
ウーウー
サイレンが響く。
「もう、見つかったの?早いね。もう・・・行かなきゃ・・・」
少女は、右手を高々と上げる。
「ワープ・サンゲン高賀へ」
シュンっ
「消えた?!」
「うそだろ?!もう少しで・・・捕らえられそうだったのに!!くそっ!!悪魔め!!!」
声が聞こえる・・・。
そう、僕は闇から産まれた悪魔・・・
人間じゃない
僕は、感情がない。そんなことは、とっくに知ってる・・・
けど・・・時々・・時々だけど理由も無く泣きたくなるときがある・・・。
なんでだろう?
今更・・今更僕は光を見れることなど、決して無いのに・・・
なんで、僕は産まれたんだろう?
産まれない方が・・・良かったんじゃない?
一人そんなことを、考える。
(もう、いいや・・・こんなこと考えても、今更何も変わらないから・・・)
「行こうか・・・」
決して逃げられることができない闇の中で僕は、居場所をさがす・・・。