ねがいのお店で

□さん
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「……………?」


気づくと私は真っ暗闇にいた。

不思議に思ったが少し前の自分は寝床に入ったので多分これは夢なんだろう。味気ない夢だ。


にしても夢なんて久しぶりに見るかもしれない。



あ、でもリアルでの夢はいつも見てるし抱いてるな。
宝くじ当たんないかなーとか、バイトから帰宅したらご飯できてたらいいのにとか、侑子さんの二日酔いするまで呑むのやめてくんないかなとか。…………無理か。


というか夢というより願い事な感じか。



「ヒヒッ…そこにいるのはひとか、はたまたもののけか…?」

「……は?」


背後から聞こえた失礼な物言いに咄嗟に振り返る。


すると私一人だと思った真っ暗闇の空間に………確かに真っ暗闇なんだけれど明かりもとくにないのに人相まではっきり見える。

疑問が湧いたが夢だからでひとまず片付けた。



振り返ると、2メートルくらい離れた場所に少年がいた。


佐吉よりは大きいように見える、黒いくせっ毛の少年。



目をひくのは小さな子供に似つかわしくない包帯。

怪我…?
にしては量が多い。もしかして虐待か?


「…おや、違ったか。あい、すまぬスマヌ」


あとは黒白逆転した目。
普通は白い場所が黒く、黒い場所が…金色?という、なんともキャラクター臭がバリバリする容姿だ。

その目がにやにやと、謝りの言葉を口にするも見るからに誠意を感じない。


「あー……うん。まあ、いいよ。夢だしね」

「ゆめ…?」

「そ、夢ゆめ!君は私の夢の住人。私は君の夢の住人」


そういうことにしておこう。面倒くさいから。


少年は私の言葉に金色の目をぱちぱちと何度か瞬かせるとヒヒッと独特の笑いをもらした。


関係ないけどその笑い方悪役っぽいな。



「ぬしのように間抜けな面をした者が夢の住人とは、われも相当ユカイな頭をしておる」



初対面で乏されたぞ。




…………まぁ、さっきのにやにや笑いよりそっちのがいいから許そう。



ヒヒヒヒヒッ!とちょっとこっちが心配するほど笑う少年の姿に私は大人な対応をした。



しかし笑いすぎじゃね?




 

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