なるとの世界で
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とっくに成人済みの私はまた学校に通うことになった。
いや、まあ還暦間近のおじさんが高校に通ってるという話題がニュースに流れるくらいだからそれほど珍しくはないんだろうか。
ドラマで35歳の高校生もやってたしね。
でも習う内容が穏やかじゃない。別に自衛隊の学校に入ったわけでもないのに。
チャクラコントロールってなんぞ。
若気の至りで念の修行ならしたことあるのにな。残念チャクラは意識したことすらないよ。
そんな、頭で考えるんじゃない、体で感じるんだ!みたいなエネルギーをどうにかこうにか体に覚えさせて実習にのぞんでは穏やかじゃない内容の座学を学び、私はちょっと特殊な学生生活を送っている。
そんな私はただいまアカデミー生。
「ミカ、またアンタゲームなんかしてるの?」
イノだって相変わらずサスケを追いかけてたじゃないか、とか突っ込んだら容赦なくゲームの電源を切られるんで静かに手元のゲームをピコピコする。
あ、レベル上がった。
「ゲームばっかしてないで修行しなさいよ、任務に出たらすーぐやられちゃうわよ」
あ、サスケくーん!と駆けていくイノの後ろ姿を見ながら、
「死なない為に、やってるんだよ」
聞こえないだろうとぽつりと呟いた。
どうして、なんで、私が、そんな考えてもわからないものは早々に考えることを放棄した。
だって考えたって悲観したって、帰れないものは帰れない。
私は某ドタバタ忍者が存在する世界に巷で有名なトリップをした。ただそれだけだ。
さらに付け加えるなら九尾事件の時に両親を亡くして親戚に引き取られるも生活費は払うから一人暮らししろとほっぽり出された哀れな少女という設定がある。
……自分で言っといてなんだが本当可哀相な境遇だな自分。
中身成人済みじゃなかったらグレる通り越してアレだよ。
まあ、幸いだったのが私が親の愛情とかを必要としていなかった大人だったことと、トリップ特典的なものの御蔭である。
手元の携帯ゲーム機、通称DSこそがトリップ特典の一つ。
先ず最初に充電いらずのハイスペックさ。
ただしソフトは抜き差し不可でポケモンオンリー。
生前(といっても私は死んだ覚えがないんだが)所持していたパールとハートゴールドのセーブデータが記録されており、なんとデータ内のポケモン+αを現実へと呼び出せるという誰しも夢に一度は描いたことがある事を実現できるという………ド●えもんのどこでもドアが欲しかったとかそんなことは思っていない。断じて。