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□それが夢だとしたら
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「……!!」


…体中が痛い。
また、倒れたのか。もしかしたら目が覚めて玄関先で倒れているかと思ったのに私はどこか知らない……でも、見覚えがあるような部屋に寝かされていた。


腕も縛られていたが指先は動く。
さっき土方の刀に触れた指を他の指でなぞってみる。
いや、なぞるまでもなくそこにはちゃんと痛みがあって。



あぁ、現実なのかもしれない。


と実感せずにはいられなかった。





…………どーしよう!!

冒頭では、なんか悟ったようにそれっぽいことをぺらぺら話していたが私はただの女子高生

私はテストを控えて疲労しているただの高校生だったはずなのに。
なぜ、幕末に…



この“薄桜鬼の世界”は私が今まで居た次元には存在しない。
現実にいる全ての人が認知している世界でもない。

日本の江戸時代に非常によく似ているが全く別の世界だと考えないといけない。

ここには鬼が存在するし、たった一人の主人公という存在の少女もいる普通ではない世界なのだ。




そこに、なぜ私という異分子が紛れ込んでしまったのだろう。



さっきまでは、テスト勉強で疲れたから変な夢を見たのかと思ってたんだけど…
手の痛みや、夢にしてはリアルに再現されすぎている薄桜鬼の世界観から、これは夢じゃないんじゃないかという結論が私の中で出始めていた。



周りの風景や、倒れる寸前に目に映った景色から此処は八木邸で間違いないだろう。


だとすると…
私の身に次に待ち受けているのは…?



……詮議…だろう。十中八九。


ここで死ぬわけにはいかない。
身元明かさずに、ここで生きなければいけない。


私は頭をフル回転させて薄桜鬼についての知識を思い出す。



まずは、今が何月か知らなくては。
千鶴はここにいるのか、否か。
これが分かれば、「薄桜鬼」の世界が始まっているのかを知ることができる。


…ん?待てよ
薄桜鬼には千鶴が来る前にも物語が無かったか?



そうだ、黎明録。
これがあった。

本編しかプレーしていない私は黎明録については、アニメでみた分しか知識が無い。


だからあくまで推測だが、本編と黎明録の変わり目は
“芹沢鴨の暗殺”?だと思われる。



千鶴の存在の有無
芹沢の生死

両方確認する方法は…






「気がつきましたか?」


「!?」





考えるのに必死で人が来たことに気がつかなかった。

目の前にいる眼鏡をかけた“一見”優しそうな男は山南さんで間違いないだろう。

千鶴の時は源さんだったのに、私には山南さんが来るということは彼らの危険度の認識の差だろうか



「少しお話を聞かせて頂きたいのですが」

言葉こそ、丁寧なものの瞳は刺すように私を見ている。


ぼろを出す訳にはいかない 
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