monochrome

□それが夢だとしたら
3ページ/3ページ




誰が居るのだろう。

まず物語がどこまで進んでいてもここが八木邸という事も含めて、必ず詮議にいるであろうメンバーは

土方、近藤、沖田、斎藤、藤堂、原田、永倉………位かな

あと隣にいる山南さん。
怖いよ
怖いよ


山南さんが来るってことは腕を怪我していないってことだ。

てことは芹沢、千鶴、もしかしたら龍之介あたりの存在で今の時期を判断するしかないか…



あと、 ここが物語のどの辺であれ私が斬られないために自分の出身を正直に話すのは絶対にタブーだ。


でも、だったら詮議で何て言えばいいんだろう。
とりあえず死にたくない。



誰だか知らないけど、私をここに飛ばした人。
なんで私を選んだの。

私は籠から出たくない。

毎日同じ事の繰り返しでいいから、“変わらないこと”が願いだったのに。

こんなのって無いよ。



でも、諦めて死んでやるってほど私の精神は人間を手放したくはないようで
今も必死に生き延びる方法を考えてる。



けれども、考えのまとまらないままの私を連れて山南さんはある障子の前で立ち止まる。


「土方君、連れてきましたよ」


「入ってくれ」


襖を開けてなくとも伝わってくるピリピリとした雰囲気。
山南さんは隠してくれるだけまた良いとまで考えていた。
まあ本性を知っている私にはあまり意味はないけれど。


スッと開かれた襖。
薄暗い光の中、見覚えのある顔が並ぶ。
やはり土方、近藤、沖田、斎藤、藤堂、原田、永倉は居るようだ。





ただ、それ以外の人物がいない。
真ん中にどんと芹沢が座っているわけでも、お茶を持ってきた千鶴が隅に座っているわけでも無い。


今の時点ではまだ分からない。


どこ。今、薄桜鬼はどこまですすんでるの


私の思考を遮るように土方が口を開く。

「座れ。」


「は、はい」



声が妙に響いて、自分のものとは思えないほどだった。



「お前はあそこで何をしてた」


………どこ


自分がさっき何処にいたかもわからない。
困った。

「え、と入っては行けない所でしたか」

「入ってはなかったとでもいうつもりか。門のど真ん中に座りやがって」

八木邸の中ではなかったわけか。
でも外でも無かったのか…


「す、すいません」


「謝れっつってんじゃねぇ
何してたか答えろ」


「……え、えーと。
道に迷ってしまったので、座って休憩してました。」

急遽導き出した私の結論は「この世界を楽しもう」ということ。

自分の妄想にしろ、ストレスで倒れた自分の夢にしろこの珍しい状況は楽しまなければ損だ。

とりあえずここで殺されてしまったら夢から覚めるのかどうなるのか分からないが
刀に切られるのは怖そうである。
しかもこのやけにリアルな夢、痛みも感じる。

何とかしてここの皆さんに受け入れてもらわねば…。



「座って休憩だ?
人様の家の門の下でか。」


うーん…………
困ったな。
私、頭が回る方ではないんだよなー。

「え、と本当に疲れていてよく覚えていなくて………」

「荷物もひとつも持たずに?」

おお
平ちゃんが喋った。

「盗られました」

する、といつもの習慣で嘘を吐く。
この悪癖も役に立つ時が来たようだ。

「お金もないし、京の都は初めてで訳がわからないし、………あまり、よそ者に優しい町では無いようですね」

適当に嘘を並べる。


「今日の外から来たのか」

「はい」

まずいな、だったらどこから来たんだって聞かれたらどうするよ。

「どこから来たんだ」

ほら、きた


「………京と江戸の間くらいのところですよ。
なぜ、初対面の方にそこまで色々お話
しなければいけないのですか?」

現実の私が住んでいるあたりなら、少しは分かるからそう言おうと思った
のだが、そこまで詳しく教えなくてもいいか
と思って、そう返す。


「」
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ