聖帝学院
□新しい日常1
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美琴先輩に会ってから、僕の日常は変わっていった。
これまで他人と関わらないようにしてきた僕だが、美琴先輩は毎日のように僕に会いに来る。
どれだけぞんざいで冷たい態度をとっても、変わらずあの笑顔で僕に話しかけてきた。
美琴先輩だって生徒会で忙しいはずなのに、休み時間の合間に時間を見つけては、僕のもとに来る。
そんな美琴先輩を見て、僕は名前を付けることのできない、不思議な感情を抱き始めていた。
入学式から数週間たったころの昼休み、僕はいつものように教室で本を読んでいた。
「織ったら、まーた本読んでる。少しはクラスメイトと話すとかしないの?」
この失礼な奴は、僕のクラスメイトで唯一話をすることがある櫻波 結だ。
「余計なお世話です。僕は本があればそれでいいんですよ、だから放っておいてください」
ことあるごとに僕に話かけてくる、うるさい奴。
しかし、どんなに冷たく突き放しても全く動じないから、僕は諦めて、今では話しをすることにした。
「第一、何で君は僕に話しかけてくるんですか。君なら他にも友達とかいるでしょう?」
そう、僕がずっと気になっていたのはこのことだ。
どうしていつも話しかけてくるのか。それが気になって仕方がない。
「だって、織ったらいつも一人で本読んでるでしょ?友達いないのかなーってさ」
どうしてこいつはいつも僕の気に障ることを言ってくるんだ。そういう態度が苛々する。
「そんなことどうだっていいじゃないですか。君には関係のないことです」
「あ、もしかして図星?じゃあボクが友達になってあげようか?」
こういう上から目線な態度も気に食わない。
僕はいつの間にか立ち上がり、声を荒げていた。