聖帝学院

□幸せな二人
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俺は瀬川先生が好きだ。
と言うか、俺たちは一応付き合っているんだが。
もちろん恋人として、だ。
俺が攻めに攻めた末、やっと瀬川先生に気持ちを受け入れてもらうことができた。
無論、瀬川先生も俺のことが好きだ、と思う。
週末には映画や外食になどに行くし(全て俺のおごりだ)、瀬川先生は本が好きだからそう行った店にも行く。
だが一つ、悩んでいることがある。
それは、瀬川先生がいつまでたっても手を繋がせてくれないことだ。
恋人なんだから手を繋ぐくらい良いだろうと言ったことがあるのだが、瀬川先生はいつも


「公衆の面前でそんなことしてはいけません!」


とか、


「じろじろ見られたらどうするんですか!」


などと言う。
ためしに誰もいないところで手を繋ごうとしたこともある(無論、恋人繋ぎだ)。
しかし、俺が瀬川先生の手を取り指を絡めようとしたら


「ひゃうあっ!?」


などと変な声を上げて手を離されてしまった。(後に分かったことだが、どうやらくすぐったくて駄目らしい)

そんなこんなで、俺と瀬川先生は今だに手を繋ぐことができていない。
そういえば、こんなこともあった。

俺が瀬川先生に、せっかくなんだからプライベートでは互いを名前で呼ぼうと提案した時だ。
俺がためしに瀬川先生のことを「灯衣」と呼んでみたのだが、これはまた見事に瀬川先生は顔を真っ赤にした。
そして「瀬川先生も名前で呼んでみろ」と促してみたがまたもや拒否され、結局この話は無しになった。
(まあ、その理由があまりにも可愛らしかったので、その日は1日中瀬川先生を好きにしただけで許してやったのだが)

まあ、このような感じで似たような話はいくらでもある。
結局、俺たちはまだ恋人らしいことがあまりできていない。キスやその先はもう経験済みなのだが…。
全く、何でそんなことができるのに手を繋いだり名前で呼び合ったりすることができないのだろうか。
俺にはてんで理解できない。


しかし、俺は瀬川先生のそんなところも含めてすべて好きだ。
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