本編 ★deAd ENd★(中編)

□chapter3
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迫りくる恐怖。

震える手に

縮こまりながらも

これでもかと脈打つ心臓。



幾たびの死線を乗り越えてきた。
その度に自分が強くなっていくことを実感し、
また弱さを痛感する。

嗚呼、どこまで続くのだろう。

この先に果てはあるのか。


大きな戦いの後は、使命という希望と絶望の狭間を行き来した。
そういう時に限って、遠い遠い昔のような、そうでないような不思議な夢をみる。


”おれがおまえをみつけてやる”


誰が言ったかはわからない。
だが翔はその言葉を皮切りに、
目が覚める時には、何の夢をみていたのか覚えていないほど、安堵の中深い深い眠りにつくのだ。









「・・・・・・」





目覚めるとまた同じ天井。
先ほど暴れた時よりか、頭は冷静に働いていた。
むくりと起き上がると、左肩にまだ響く鈍痛。
そして胸に手をやると、握り拳ほどの穴。
やはり尸魂界ではないことの現実がそこにはあった。

「起きたか。」

横を振り向くと、本から顔をあげたローが居た。
丸い窓の外は真っ暗で、月明かりとランプだけが部屋を照らしていた。



取り乱した自分を思い出して少し居たたまれない気持ちになり俯いたが、翔は少し考えた後ローに向き直った。


「トラフォ・・・」
「トラファルガー・ローだ。
ローでいい。」
「アンタが助けてくれたんよね。
じゃないと、アンタの船なんか乗ってないもんな。

・・・・取り乱してごめん。
よく考えたらあの時倒れてたまんまやったら海軍につかまって監獄行きやったかもしらん。」


ローは少し目を見開いたが、
にやりと笑った。

「・・・・素直じゃねえか。」
「あほか。私はいつもは冷静なんや。
取り乱しとっただけや。」

翔はベットの端に移動して、足を床に着けた。


「助けてくれたんは、感謝しとる。


やが、


私は帰らなあかん場所がある。

アンタには着いてけへんことをわかってほしい。」


翔の深緑の瞳がローを捕える。
ローは無表情のまま翔を見つめ返した。

「断ると言ったらどうするんだ?」
「アンタ含め全員皆殺しにする。」


二人の間に緊張感が走る。

「・・・・・」


「・・・・・」




見つめあったまましばらく沈黙が流れた。
それは刹那に殺気が交じり合いながらも、お互いが出方をうかがっているようだった。

「クッ・・・・」


先に笑ったのはロー。
そうして帽子を被り直しながら、

「・・・・わかった。
お前が自分の世界に戻れるまで面倒みるだけにしてやる。」
翔はその言葉を聞いて安堵した。

「だがこの船に乗せる以上、


お前には守ってもらわなけばならないことがある。」


「え、船に乗るって決めたわけやないんやが・・・。」
”いや待て。寧ろどこかの島で降ろして欲しい、と言った所でトラ・・・何とかは降さしてくれへんやろう。
降ろしてくれたとしても、心臓は返してくれん気がする。絶対そうや。”

そう思って翔は眉をひそめた。
ローは相変わらず本を足を組んだ上に乗せながら、無表情で翔を見つめている。



”心臓を取られたまま義骸を脱げるかどうか、よくわからんなぁ。
とりあえず一人になった時にでも試してみるか。


ならば・・・・今どうする?とりあえず約束とやらを聞くべきか”


「守ってもらわなあかんものってなんや。」


「1.クルーには手を出すな」
「イチ、ってなんや。何番まであんのや。」

「黙って聞け。
2.クルーに対して妙な術は使うな」


「・・・・わかった。」


「3.無茶して怪我をするな。」
「まだあんのかい」

「最後だ。
4.俺の命令は絶対だ。」


「う・・・・ん・・・・?」


思わず承諾しそうになったが、最後の約束の意味がわからない。
結局、最終的にローは絶対権力を持っていて、逆らえないということではないのか?

「4はおかしない?
結論アンタには逆らえへんてことやろ。
今までの1〜3は何やったん・・・・」


「ついでだ。」
「ついでかいな!!」


「文句あんのか。」
「文句ないことたないけど。。。
で、それ破ったら私の心臓握り潰すんか?」


翔は不服そうに腕を組んでローを見据えた。




「いや、そうだな・・・・」
ローは顎秀を撫でてしばらく考えた後、翔を見た。





「今は”仕置き”ということにしとこうか」



その目は本気だった。


体罰か、それ以上か、

翔は背筋が凍りつくのを感じた。










++++++++
会話重視。
ローは独裁でいいと思う
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