本章★ do or die..(長編)★

□THE AWARKENESS
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AWAKENESS

「あー・・・・頭痛い・・・・」
目覚めると私だけなぜかベットに寝ていた。
起きて食堂へ水をのみに向かうと、皆酔いつぶれたまま床で寝ていた。
「すごい光景・・・。」
そういえば、と昨夜のことを思い出そうとしても思い出せない。
皆が床で寝ていることをみると相当私も飲んだんだね・・・。
少し不安に思いながらも、洗面所で顔を洗い鏡を見ると、蚊に噛まれたように充血した赤い斑点が首の周りに数か所あった。
傷なんてすぐ治るはずなのに、たった今負ったようにその斑点は赤く充血している。
「なんだこれ・・・」

「覚えてねえのか?」

鏡越しに壁にもたれ掛ったローと目が合う。
「ロー、おはよう。」
ぼけっと挨拶を交わした後、、もう一度鏡をみる。
「・・・・っ!?」
覚えてねえのか、というローの一言に嫌な感覚がした。
「これ、もしかして・・・」

噂のキスマークとかいうやつでわ・・・・っ!?

ローに突っかかっていったとこまでは何となく覚えている。
ということはこの赤い斑点をつけた犯人は・・・・ロー・・・?!
おそるおそる振り向いた時にはすでにローは洗面所から出ようと背を向けている所だった。


「もうすぐ島に着く。ショー、ちょっと来い。」
海の向こうからうっすらと島らしきものが見えていた。
しばらく私はその場に立ち尽くした。

何をしている、というローの怒鳴り声にはっとして私は彼を追いかけた。



「とりあえずこれ着ろ。」
ローの部屋に入って渡されたのは、ローの服。
そういえばピラニア事件でツナギもボロボロだ。
血のついたところは洗って縫ってはみたものの、裁縫なんて得意じゃないから、肩と腕の布目があってない。

「あれ、これぶかぶかw」
パーカーとズボンを渡されたが、ズボンなんてサイズ合うわけない。
ローが来たら七分丈になりそうなパーカーが、私が着たら長袖。
裾も膝上ぐらいだし、これならワンピースでもいけそう。
着替えた私を見てローが一瞬目を見開いたが、すぐに目をそらして外へ出て行ってしまった。
不思議に思いながらも私も甲板へ出ると、ペンギンたちが私を見つけて「うおー!生足―!!」と叫び出した。
・・・ああ、何かこの人たちのテンション読めてきたぞ。


島が近づくにつれ、皆が慌ただしくなった。
日本とは違う異国の街並みに私は胸がおどった。
白塗りの壁に、レンガの通り道、マーケットや山の向こうにはお城。
「何か、ヨーロッパに来てるみたい。」
船を港につけて、居残り組と買い出し組に分かれた。
「買い出し組行くぞー」
私もそれについて行こうと駆け出すが、パーカーのフードを引っ掴まれる。
「お前はこっちだ。」
「ちょ、、え???」
ローにひっぱられながら皆と反対方向へ。

「っちょっとロー、離してっ
一人で歩けるから!」
これではリードで繋がれた犬みたいだ。
ぱっとローが私のフードを離した。
「何がいる?」
「え??」
「いるものを買ってやると言ってるんだ。」
帽子の陰でよく表情がよみとれないけど、私が何も持ってない事を気遣ってくれてるのかな。
でも少しふて腐れてる?
やっぱり昨日私何かしでかしたんじゃ・・・。

「あ、ありがとう。」


最初は色々買うもの考えてたんだけど、ローは「店の前で待ってるから3秒で買ってこい」などと無理なことを言うもんだから、じっくり選べないまま猛ダッシュで買い物。
とにかく必要最低限のものはそろったけど、可愛い雑貨屋さんとか寄りたかったな。
一通り揃えたことを伝えると、俺の用事に付き合えとそそくさと一人歩き出した。
ローってば全然気が利かないし優しくない・・・っ

少し坂になったレンガの通りを二人歩く。
ローは長身だから足の歩幅が私と違うくて。ローが一歩進むたび、私はついていくのに2、3歩。おまけにレンガがガタガタして歩きにくい。
「ちょ、早いよロー!」
ローは私の声で振り返ったが、何も言わず前を向き直って同じ速度で歩き出した。
コ、コイツ・・・!!
「・・・わっ!」
駆け足でローに追いつこうとしたせいで、レンガにつまずいた。
前にいたローが振り返って、前かがみに私を支えようとした。

べしゃっ・・・・

むくっと起き上がる私。額をがっつりレンガにうちつけた。
「ちょっと兄さん?今手を差し伸べたのに何で引っ込めたのよ」
「ミイラにされるのはゴメンだ。それにその擦り傷ぐらいならすぐ治るんだろ」
そりゃそうだけどさ。
ローは私のフードを引っ掴んで私をたたせた。
「・・・扱いがぞんざいなんですけど。」
「女扱いされてえのか。何なら今ここで襲ってやろうか。」
私は首を思いっきり振った。
女扱いの意味が違う気がするんですけど。。。

ローは古びた書店にそそくさと入っていった。
その中には見たこともない文字でかかれた本がたくさん置かれていた。
部屋にもいっぱいあったけど、ローはいつも何読んでるんだろ。勉強熱心なのかな。
近くにあった本を手に取ってみた。
「うげ。」
そこには手や目とかいろんな人体図。医学書か何かかな。
とにかくこの本屋に私が楽しめるものが何もなくて、自分が暇だということに気づいた。
外にでて待ってよっか。

店の軒先に腰かけて、人の流れを見ていた。
私、異世界にいるんだよね。何かすごく不思議。
天気もいいしぽかぽかするし。何かうとうとする。

「お姉さん一人で何してるの?」
目をあけるとそこには見知らぬ2人の男。休憩をしていたことを告げると、
「ここらへんでは見慣れない顔だね。もしかして旅行客?
よかったら美味しいケーキ屋がすぐそこにあるんだけど俺たちと行かない?」
おぉ、ケーキ!なんて親切な人たちなんだ。
ローが店に入ってから結構経つし、ちょっとぐらいいいよね。


・・・で、結果路地裏に連れ込まれた私。後ろに逃げ場はない。
「ね、悪いようにはしないからさ、俺たちと楽しもうよー」
幼稚園で知らない人にはついてっちゃいけないって教えられたのに。
外国みたいな異世界の土地で、うきうきしすぎた。ケーキという言葉につられた私がバカだった。
男の手がのびる。
「いや!」
両手を掴まれる。私は目をつぶって男の焼け焦げる顔を見ないようにした。
「へへへ・・・」
・・・・・あれ?
何も起こらないことに私は血の気が引いた。ローの訓練のおかげなのか、恐怖がまさっているのか、私はすんなり男につかまってしまっている。
「いや!!」
振りほどこうにも振りほどけない力。
「・・・っ」
もう一人の男がパーカーの裾から手をいれて太ももを触りだす。

「やめてってばー!!!!」

大きな私の声が路地裏に響く。すると男たちがわああと叫んだ。
私を掴んでいた男の手が焼け焦げる。
「て、てめっ・・・何した!!」
もう一人は私にぴったりと張り付いていた所為で、全身から煙が出てのたうちまわり始めた。
「うわああああ!!」
町中に響き渡るぐらいの叫び声をあげだす。
ど、どうしよう。どうしよどうしよ!
私は両手を抱えてうずくまる。

「なんだ、何事だ!」
遠くの路地から警官がかけつけてくるようだ。
私は彼らの叫びを聞かないように耳を塞ぐ。

一瞬、ふわりと風が吹いた。
私の肩を抱き寄せる。
「・・・ロー・・・?」

片手に本を抱えたロー。一体どこから来たのだろう。
そんなことどうでもいいくらい、私はローの顔をみて安堵した。

「迷子になるんじゃねえ。探し回ったじゃねえか。」

「ロー・・・!」
涙でローの顔がぼやけてみえる。
私は彼の腕にしがみついた。
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