本章★ do or die..(長編)★

□The trainee.
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The trainee.

私が、人間を拒んでいる・・・?

「そんなこと、な・・・い」

平静を装って言葉に出したものの、声が震えてしまった。
「人間なんて治癒できないし、

拒んだのはみんなだよ!」
ローは私の両肩をつかんだまま何も言わなかった。
目の奥から湧き出そうな涙を私は堪えるのに必死だった。
「・・・っ」
ふいにローの右手が私の頬に触れようとした。怖くて思わず目をつぶってしまった。
「・・・・」
ローはスタスタと歩き私から離れると、長刀をスパンと振り抜いた。

「これから、訓練をする。」
「訓練・・・?」
あ、また怪しげな笑い方をしてる。
「特別レッスンだ。感謝しろ」
遠慮します、とは言えない雰囲気だな・・・。
「2つ訓練をする。
1つ目、体力をつけろ。
お前体力ねえだろ。貧相な体してるもんな。」
帽子の下から私の体をぐるりと見回した。
「なっ・・・・!」
「いいか、能力は能力者の体力によって左右される。
力を使ってすぐ疲れる奴は体力がない。」
確かに、力を出すとそのあとの疲労感がすごい。
二つ目、とローは指を突き出した。

「俺に慣れろ。」

「ローに??」
ローがまた私に近づいてきたので、後ずさりをした。
「わああ!」
逃げ惑う私にローは私との間合いを詰めてきた。
ローは長刀を床に指すと、私の二の腕を掴んだ。
まだ自由の効く反対の腕をローから離そうとしたが、ローはこともあろうか私に足払いをかけた。
「・・・!」
落ちる!
ぎゅっと目をつぶったが、床にぶちあたると思っていた私の体は、
先にしゃがみこんだローの腕に抱きかかえられていた。
私の肩がすっぽり入る大きな手。片手で軽々と支えられてしまい、私はびっくりしすぎて身動きが取れなかった。
ローが私の顎を上げる。自然と私は上を向く体勢になり、ローと目を合わせる状態となってしまった。
か、顔が近い・・・・!
「俺が触れることに慣れろ。
“ROOM”ナシで。」
「・・・・・どうやって??」
「能力にはオンオフのスイッチがある。
人間に触れても“拒絶”の力を使わないように自分をコントロールしろ。」
「・・・・どうやって?」
あ、イラっとされた。だってわからないもん。コントロールとか。
「だから俺に触れ慣れろと言ったんだ。一番手っ取り早いし、これはお前の宿敵である俺にしかできねえ。」
人に触れてもミイラにしないように、ローに慣れて力をコントロールできるようにするのか。
でも、なんで・・・?
「なんでロー、ここまでしてくれるの?」




「前にも言っただろう。

ショー、お前に興味がある。
お前が必要だ。」



そ、それって・・・つまり・・・。




「チユチユの実の能力者は俺がずっと探し求めていた。敵になれば最悪だ。
だから早く見つけて仲間として迎え入れる必要があった。
だが見つけたお前は人間をミイラにする。
放っておけば船員に危害を加えかねないから、俺がなおしてやる。」

なんだ、私じゃなくて能力に興味があるってことね・・・。


「・・・・なんだその目は。
ワンピースを見つける男と一緒にいれるんだ。感謝しろ。」
・・・ワンピース?
私の頭の中でもわもわと花柄のワンピースが浮かんだ。
いやいや、待て。ここは異世界なんだ。きっと違うものだ。

「今日はここまでだ。明日から覚悟しろ。」

刀を鞘におさめてローは私を置いて部屋を出て行ってしまった。
嗚呼、前途多難。
考えることが山ほどありすぎる。。。

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