本章★ do or die..(長編)★

□THE DOWNDECELERATE
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皆が席に着いたのを見て、シャチがゴホンと咳払いをした。
「えー、先日我が海賊団に、素晴らしい新人が入りました。」
おぉー?誰だそれはー!!というわざとらしいガヤが入る。
ここの人たちのノリには何年たっても着いてく自信がない・・・。
キャプテンは平静沈着、って感じなのにクルーたちはテンションが高い人が多い。
それはそれでバランスが取れてるのかな。
私が考えている間にも、シャチの演説は止まらない。
「おい、もういいだろ。」
面倒くさそうにローが割って入る。
「アイアイ、キャプテン!ショー、改めて挨拶」
「え、私・・・?」
皆の視線が私の方へ。そんなキラキラした目で見られても何も面白いこと言えない・・・!
「ショーです。
えと、よろしくお願いします。」
シン、とした雰囲気があたりを包む。
あれ、いつもなら「前と同じかよー!」とか「知ってるよそんなことはー!」とか椅子をひっくり返してまで騒いでくれるのに。
おろおろしていると、シャチが私にコップなみなみに入れたラム酒を渡される。
それを見て目をキラキラさせるクルーたち。
あれ、何か嫌な、よか・・・ん??
「新入りの歓迎会だと言っただろう。」
ニヒルな笑いを浮かべるロー。
「・・・・乾杯っ!!」
空気を読め私!と自分を勇気づけながら、ラム酒を一気に喉に流し込む。
呑み切ってコップを机に叩きつけて、手の甲で口を拭う私をみて、やっとクルーから歓声があがった。



「宴だーーーーーーー!!」



わああ、と皆が騒ぎ出す。
ちょ、宴楽しむ前にすでに頭クラクラするんですけどっっ

「あれ、この見たことない料理、うまい!」
「なんだこれ!!」
あ、それ私作ったやつだ。ドキドキしながらコップで口を隠しながらそれを見守る。

「あ、それショーちゃん作ったやつ」

「ブフォ!!」
「っおい!きたねえなっ!!w」
ペンギンの顔面にむかって吹き出してしまった。
だって、私が作ったこと内緒にしてって約束したのに普通にやぶるんだもん。
まあ無理ないか。・・・・すでに料理長できあがってるし。
料理の説明を求められて、料理を指さす。
「えと、これがピラニアの南蛮漬け。んでこれはピラニアの煮付けに、ピラニアの竜田揚げ。」
「「ピラニアばっかじゃんww」」
「だってしょうがないじゃん。大量にあまってるんだから。」
しかもピラニア調理したの初めてだったから味には自信ないけど。。。
「キャプテン、これショーが作ったんですって!!」
ペンギンが奥の席に向かって叫んだ所為で皆にばれだ。
顔が真っ赤になるのが自分でもわかって、私はとっさにフードをかぶった。


「・・・悪くない。」


ローの顔を見れなかったが、その言葉がジンと胸に響いた。
「よかったな、ショー!」
「う、うん・・・。」




料理があらかた食べ終わった所で、宴会は本格的になっていった。
「ごめんな、さっきは。新人入った時にコレいつもやってる習慣なんだ。」
シャチが両手を合わせて謝る。
さっき、ってのは乾杯で一気飲みさせること。
「あれ、でももう平気かも・・・。さっきまで頭痛かったんだけど・・・。」
「能力のおかげじゃないかな?傷なんてすぐ治るんでしょ?」
ちゃっかりジュースを飲んでいるベポに言われる。
「そうか!じゃあ私お酒飲んでも酔わないんだっ」
発見。お酒なんて飲んだことなかったから、ラム酒なんて飲まされたらどうなるかと不安だったけど、
能力のおかげで体からお酒が抜ける速度が人より早いんだ・・・!
そう思うと気が楽。すごい、なんか自分がザルになったみたいだ。


ってことは・・・日頃私を痛めつけているあの鬼畜野郎を酔い潰せる・・・・!!


「よし!!飲むぞー!!」
「おぉ、ショーがやる気だしたー!」
そうこなくっちゃ、とクルーたちがコップを高く持ち上げて雄たけびを上げた。

「なんだ、俺と張り合おうってのか。」

コップ片手にニヤリと笑うローに私もニヤリと返す。
「ええ、“キャプテン“とぜひ飲みたくて。」
私はローの隣を陣取る。
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