本章★ do or die..(長編)★

□THE RELIANCE
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Reliance.


「ふう・・・よしっ」
私は頬を叩いて気合を入れた。
鏡を見て普段通りの顔か確認をする。
若干まだ赤い感じがするけど、これくらいならバレない、、、はず!

私は平静を装って食堂に入った。
入るなりクルーたちが一斉に詰め寄ってきた。
「ショー、大丈夫か?」
「倒れたったんだって?」
口々に心配の言葉を投げかけてくれた。
迫ってくる皆に両手を振りながら
「大丈夫、大丈夫!ありがとう!」
そういっていつもの席へ座った。
ちらっとローを横目で見ると、彼は新聞を読んでいた。
本当、いつも眉間に皺が寄ってるだけでポーカーフェイスだから何考えてるんだかわからない。
「!」
ふいに顔をあげた為私は視線を自分の座っている机に向けた。

「・・・・」
向かいには気まずそうなシャチの顔。
「・・・・」
思わず私も何を言っていいかわからず黙り込む。
「キャプテン、怒ってたか?」
こっそりとシャチが私に小声で話しかける。
あの後すぐにローは部屋から出ていっちゃったからわからないんだよね。
私はさぁ、と首を傾げた。
「何コソコソしてんの?」
私の横にいたペンギンがモゴモゴ肉を頬張りながら話に入ってきた。
「いやさ、キャプテンが祥子押し倒・・・」
「わあああ!!」
思わず大きな声で叫んでしまった。
何事、と皆の注目をあびる。私は笑ってごまかした。
「な、なんでもないっ!」
ローまでこちらを見ている。

「なんだ、襲われたのか。」

ペンギンが空気を読まずに一言。
何でいうのかなそこで!

それを聞いたクルーたちが待ってましたと言わんばかりに、一斉に騒ぎ出す。
もう耳まで真っ赤になるのが自分でもわかった。もう本当止めてほしい。
私はツナギのフードを思いっきり被って自分の顔が見えないようにした。
「キャプテン、どういうことですか!」
ローへとみんなの視線がいく。
そしてニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

あ、何かやだ。

聞きたくないっ


「あ、ショー!」
私はいきおいよく立ち上がり、走って食堂を出た。
本当恥ずかしかったし、何よりローの言葉を聞くのが怖かった。
何せこんな状況どうしたらいいのかわからない。
人から自分がどう思われてるのかなんて、怖くて聞きたくない。

「ハァ・・・ハア・・・」


私は思い切り外にでる扉を開けた。
いつのまにか船は海の上に出てたみたい。
ってか、逃げたところでここは船の中で海の上で、嫌でもローに顔合わすのに逃げてしまったら余計気まずくなるじゃんか。何やってんだ私。
息を整えて上を見上げる。
「あ・・・」
空には満点の星がこれでもかってぐらい輝いていた。
都会では明るすぎて見えないけど、海の上だとこんなに綺麗に見えるんだ。
私は船の上で一番高いであろう監視台によじ登った。
もっと近くで見れるかな。

そういや、おばあちゃんの家もこんなに星見えてたっけ。

おばあちゃんを思い出すと、何だか急にさびしくなった。
このまま私はこの異世界に取り残されたままなのかな。


戻れたって、帰る場所なんてないのに


あ、だめだ。ネガティブ。
マイナスの事しか考えられなくなる。

わたしやっぱりいらないにんげんなんじゃないか。
だれもひつようとしてくれないんじゃないか。

感情の負の連鎖から逃れられずに、私はフードを深くかぶり、ぎゅっと自分の両足を抱きしめた。
ただ、わたしは・・・


「おい」
聞きなれた声にびく、となる。
「なに」
私は顔もあげずに答えた。
「何故出ていった?」
「・・・・」
ガタ、という音が聞こえてローが監視台の中へ入ってきたのがわかった。
何も言わずに私の前にしゃがみこむ。
今顔なんて見れない。

ガッ・・・

いきなり両手で顔をつかまれた。
「・・・っ」
強制的にローに目がいく。フード越しにローの顔があって、その後ろには星が輝いていた。
「泣いてたのか」
「泣いてるわけないじゃん。」
目に涙をためた私の必死の強がり。
でもローはわかっていて。


「ショーが必要だと言っただろう。」


そう言うと、流れでたひと粒の涙を親指で拭ってくれて。
私の瞼にやさしくキスをした。
くすぐったくて、すごく恥ずかしい。
温かい気持ちが私の心を満たしていく。

「それは、私の力がってことでしょ。」


また可愛げのないこと言っちゃった。
ローは無言で私の隣に座った。

「それだけじゃねえよ。」


ローの肩が触れる。
それだけじゃねえ、か。


どういうことだろう・・・。


私は聞き返すのがやっぱりまだ怖くて、ローの体温を隣で感じながら何億もの星を見上げた。

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