本章★ do or die..(長編)★

□THE SUSPICIOUS
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SUSPICIOUS


「それ、どういうこと?」
イーストブルーじゃない、っていうことは、ドフラミンゴは日本が異世界だって知ってるってこと・・・?
ドフラミンゴはさもおもしろそうにニタニタしている。
「どういう方法で“こっち”に来たか知らねえが、俺の知ってい方法で来たんじゃねえってことは確かだ。
つまりは一方通行。お前は戻り方をしらネェ。
だがお前が“戻りたい”テェなら戻してやらないこともない。」


・・・・戻る?
戻れるの・・・・?

私は息を呑んだ。
「・・・・・・・」
答えが出ない。
あれだけ憎んでいたあの世界なのに、いざ戻れると言われると首を横にふれなかった。
だって、私が長年住んだ世界だもの・・・。


ドフラミンゴは黙り込む私を見て、ふわりと宙に浮いた。

「一週間後、“シャボンディ諸島”で待つ。
来なかったら、もう二度とないと思え。」


そう一言残すと空を蹴ってピンクのジャケットを翻しながら飛んで行ってしまった。



「・・・・・」
私はその場にへたりこんだ。
ドフラミンゴの禍々しいオーラと、自分の世界に帰れるという安心感と、そして絶望感。
「ショー・・・」
ベポたちが心配そうに私に近づく。
カツ・・・と静かにブーツの音が私の隣で鳴った。
「・・・・」
見上げるとローは無言で俯いたまま、帽子を深くかぶりなおした。目元が帽子に隠れて表情が読み取れない。
「ろ・・・・」
「もうすぐ次の島に着く。準備をしろ。」
ローは私の言葉を遮って、操舵室へと消えて行った。
「・・・・っ・・・」
今にも出そうな涙を私は堪えた。
「ショー、大丈夫だよ。キャプテンもびっくりしているんだ。
落ち着いたらきっと話を聞いてくれるよ。」
私は俯いたままベポの言葉に何度も頷いた。


私が、怖くて、一人で抱えすぎた。

私の、所為だ・・・。





私は自分の腕を掻き抱いた。

――――――――――――――

しばらくして、うっすら島が見えてきた。
「・・・・寒っ!」
薄寒い空気が島から流れこんでくるようだった。
甲板で島を見つめていた私にシャチが近づいてきた。
「次の島は冬島だ。
“日本”はどういう島かわからないが、着こまねえと風邪ひくぞ。」
そういうとシャチは自分のであろうマフラーと帽子を貸してくれた。
「あ、ありがとう」
「ショーがどういう所から来ようと、ショーは俺たちの仲間だ。
だが、決めるのはお前自身だ。シャボンディ諸島は、この島を抜けた後にある。」
サングラス越しに、シャチは私に気を遣いながらもシャボンディ諸島が近いことを伝えてくれた。

「シャチ、私・・・・

話したい、私の事。島に着いたら時間取れるかな??」

シャチはニカッと笑って快諾してくれた。


「おい。」
いつのまにか後ろにローが立っていた。
う、気まずい雰囲気・・・・。でも、ローにもしっかり話さなければ・・・。
「あのね、ロー・・・うぷっ?!」
顔に投げられたのは、シンプルなVネックのシャツにスキニ―デニム。
そしてその上に羽織る分厚いコート。
以前の島で買ったものだった。


「ツナギを脱げ。それに着替えて島に入るんだな。
シャチ、ちょっと来い。」

それだけ言ってまたローはすぐに島へ入る準備へ船の中へ入ってしまった。
シャチが私を気にしながらも、ローに急かされて行ってしまった。

「・・・・・っ・・・・」

私は手すりを強く握ってあふれ出そうな嗚咽を必死で噛み殺した。



ツナギを脱ぐということは、もう私仲間じゃないってこと・・・?





「キャプテンっ!!」
シャチがローの後を追いかける。
「キャプテンってば!」
ローが返事をしないのでシャチはローの腕を取った。
「キャプテンッ、さっきの言い方はなんですか?
あれじゃあショーがもう仲間じゃない、みたいな言い方だった!
ショー、すごくショックを受けてた・・・!!」
シャチはローの獣の様な怒りを帯びた目にビクつきながらも、ローの腕を強く握った。
「そうじゃない。
アイツは今日から賞金首だ。
むやみにハートの海賊団であるツナギを着て島に入ってみろ。狙ってくれと言っているのと同じだ。」
シャチは、ローはいつになく殺気立っているのがすぐにわかった。
それはショーが、自分の素性について明かさなかったことが原因だってことも。

「それは、ちゃんと本人に言わなきゃわからないですよ。
じゃないと・・・・」

「キャプテン、大変だっ!!」
ベポが焦りながら二人のもとへ走ってきた。

「ショーがいないんだ!
荷物もなくなってる!!!」

「チッ・・・・あいつ・・・・!!!」

「あ、キャプテン!」
ローは部屋から飛び出していった。
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