本章★ do or die..(長編)★

□THE SUSPICIOUS
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船は森がすぐそばにあって船体を隠せる海岸に止められた。
「海賊船だから、街中に止められないもんね。でも、今は好都合。」
すぐ森だから、私自身の身を隠せる。
ログっていうのがこの島ではすぐ溜まるらしいから、船はそれを確認するとすぐ出航するだろう。
それまで森で身を隠す。
それから・・・。
「それから、どうしよう。」
シャボンディ諸島は次だって言ってた。きっと商船とか漁船も港に泊まっているだろう。
頼めばすぐにシャボンディ諸島につくかもしれない。
「悩んでいる暇はない!」
私はこっそり部屋から掴んできた自分の荷物を肩に担いで、皆にばれないように船を下りて森へと逃げ込んだ。
長居してしまうと、このまま居させてほしい、と口から出てしまいそうだった。
ローはツナギを脱げと言った。

それはきっと、私が重荷だったんだろう。

私がローに真実を告げなかったからだろう。


私は言われたとおりにツナギを脱いだ。
これでいいのでしょう、ロー?






「・・・・くそっ、どこに行った?!」
森はそんなに深くないようで、街の明りで森の奥の方がすこし光っている。
すぐ見つかるはずだと見込んでいたが、かれこれ一時間ほど探しているが見つからない。
「ショー・・・」
ショーが何か隠しているのは気づいていた。
それはショーの過去についてもそうだが、彼女の行動からして、この世界について知らないことが多すぎた。
ダンッ・・・・
木にいらだちをぶつける。ミシリと鈍い音を立てて。太い幹から折れた。
「・・・くそがっ・・・」
無理やりにでも問いただすべきだった。
きちんとショーに向き合って、正直に話すべきだった。



ショーが必要だと。



「・・・・・っ?」


“必要”という言葉が心の中で浮かんだ瞬間、何か自分が今まで経験したことのない感情が湧き上がってきていることに気が付いた。

「はっ・・・まさかな・・・」

忘却の彼方置き去りにしてきた今もまさに込み上げるその感情の疑惑。

俺は帽子を被りなおして鬼哭を強く握りしめた。






空は夕焼け空に赤く染まり、西の暗がりからちらほら星が見え始めていた。
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