本章★ do or die..(長編)★

□THE FELLOWSHIP
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THE FELLOWSHIP

「いいの?勝手に出てきちゃって。」
「うん、すぐ戻るからベポちょっと付き合ってよ。」
私はベポを引き連れて昨日飲んでた酒場をでた。
外は昼前。薄灰色の雲の向こうから、少しばかり太陽が見える。
酒場の上階は宿屋であったようで、クルーのほどんどが酔いつぶれて船に帰れずに泊まってしまったらしい。
私も酔っていたから人のこと言えないけど。
朝起きたら一人でベットに寝ていて誰かが運んでくれたんだろうと、まだ目の覚めない頭で考えた。

「昨日の事、覚えてるような覚えてないような、記憶が曖昧なんだけど・・・。」
「キャプテンに死ぬほど飲まされてたもんね。
ショーはべろんべろんになってたけど、
キャプテン楽しそうだったよ。」
「嗚呼・・・・ドSだもんね・・・」
息を手に吹きかけてベポの腕に寄り添いながら歩き出した。


島の栄えた所へとは行かず、路地裏のまた奥へと足を進める。
行先は決まっていた。森から店へと向かう途中に見つけた。
唯一起きていたベポに声をかけて、付添を頼んだ。
だって、行きたいところがあってもこんな町はずれの治安の悪そうなところ一人で来れたもんじゃない。




「いいのかい?嬢ちゃん。」
「ええ。」
「肝が据わってるね。」
「そんなことないわ。
今から据えようと思って。」
「そうかい。変わっているが、俺は好きだぜそういうの。」
「ふふっ・・・」




しばらくして店を出た私をベポが外で待っててくれた。
「大丈夫?」
ええ、と肩をさすりながら答えた。
「ベポ、これは皆には内緒にしておいてね。」
「アイアイ、でも、なんで?
いいと思うんだけどなぁー」
「ダメよ。あの“キャプテン”が何を言うか知れたもんじゃない。
それに、まだどうなるか“分らない”もの。」
私たちは少し寄り道をしながらも酒場兼宿屋へと戻った。

それから酒場で軽いブランチをしていると、頭を抱えながらクルーたちが部屋から出てきた。
「あー・・・頭痛ぇー・・・」
「もう15時よ。いくらなんでもお酒残りすぎなんじゃない?」
いいよな、能力者はー!とペンギンが悪びれもせず机に項垂れる姿を見て、自然と顔が綻ぶ。
あれ、私笑ってる?あれだけ能力をひた隠しにして、大嫌いだったのに
ペンギンの言葉に思わず笑ってしまった。
驚きながらも、嬉しい気持ちだった。
「・・・ローは?まだ寝てるのかな?」
「そういやキャプテン、ショーを二階に運んでから見てないよな?」
「ローが、私を運んだの?」
「ああ、てっきり一緒に寝てるのかと思った。」
ペンギンがにやにやして突いてきた。カチンときた私はペンギンに両手を押し当てる。
「・・・“REJE・・・」
「わあああ!ごめんなさいー!」
二日酔いで机に突っ伏してた男が飛び起きて逃げ回る。
「ふふっ、ちょっと上見てくる。」

クルーが寝泊まりしていた部屋を片っ端から開けていくがローはいなかった。
まさか・・・
と思い自分の寝ていた部屋を開けるとローがベットの上で上半身裸で寝ていた。
肩には少し濡れたタオルが無造作にかかっている。
シャワーでも浴びてたのかな。そんで、そのまままた寝たのか?
浴びてたら私も起きたとき気づくと思うんだけど、急いで出てきたからその時服でも脱いでたかもしれない。

「おい、何している?」
「何って・・・ハッ!!」
デジャヴュかと思うぐらい同じ光景に私は勢いよく手を引き揚げた。
いつのまにかまたローの短い髪の毛をわしゃわしゃしていた。
「・・・・」
寝起きで不機嫌な鋭い目つきで睨まれる。
ローは頭を掻きながらむくりと起き上がった。

「・・・どこ行ってた?」
「ど、どこって、下にいたけど・・・」

戸惑いながらも答える私にローは少し怪訝な目を見せるも、
ベットに置かれた私の手の上にタトゥーの掘られ、筋張った手を置く。
昨夜は“DEATH”の文字を見てぞっとしたのにも関わらず、
今は何故かその手が触れることにより自分の体温が幾ばくか上昇している。
ローは私と自分の手が重なっているのを伏し目がちに見つめ続けた。

「また、どこかに行ったかと思った。」

ローの言葉に胸がきゅっとなる。
「・・・おい」
「ん?・・・・ハッ!!」
本日2回目。握られてない手でローの髪の毛をわしゃわしゃしてた。
しかしローは今度は何も言わずに撫でくりまわされてた。
前髪が目に入りそうになると少し目を瞑る仕草がいつものローと違って可愛く見えた。
「!」
咄嗟に手首を掴まれる。
「もう気が済んだだろ。」
「う、うん」
「今度は俺の番だよな」
「う・・・ん?え?」
流れで頷きそうになるが、謎の“俺の番”発言。
腕を強く握られて、鋭い目が私を捉える。


「抱かせろ」
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