本章★ do or die..(長編)★

□THE FELLOWSHIP
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「抱かせろ」
「・・・・・・・・・・・・・は??」

ついに頭おかしくなったのかこの人は。
ローは頭キレるけど、キレすぎると人はこんなに飛び抜けた発想になるのか?そうなのか?

「!」
ローは私の腕を掴んでそのまま自分の頭を私の肩口に押し付けた。
「・・・ちょ、ちょっと?」
「・・・・」
ローは黙ったまま、私の背中に手を回した。
「・・・・ロー??」


「もう、どこにも行くな」



胸がきゅっと締め付けられる感覚を覚える。
“抱かせろ”っていうのは“抱きしめさせろ”ってことだったのね・・・・多分、そう信じたい。
私はローに気づかれないように少し笑いながらも、またローの髪の毛をくしゃくしゃすると、
ローが背中に回した手の力を強めた。
が、うっかり右の肩甲骨あたりに鈍い痛みを感じて顔をゆがめてしまった。

「・・・っ・・・」

すぐにローが顔を上げて何かに気づいた。右の目だけ顰めてすかさず私の服に手を入れた。
「脱げ。」
「はっ?!
いやいや、大丈夫だって!何もないって!」
「おかしい。お前が何もないのに痛がるのは。」
大丈夫という私の制止を振り切り、びゃっと首まで捲し上げられてしまった。
私のキャミソールとその隙間からブラが見えてしまい、ものすごく恥ずかしいのと同時に
見せたくないものがあった。
「い〜〜〜や〜〜〜〜
何もない!何もないから!!」
手足をばたつかせて必死の抵抗。だがその抵抗も空しく、顎にひっかかっていた私のシャツは瞬時に床に投げられた。

「おまえっ・・・・!!」

ローが目を見開いて驚く。

無理もない。



私の右の肩甲骨の上に、




手のひら大のハートの海賊団のジョリーロジャーのタトゥーが




黒々と輝いていたから。



彫られたばかりでまだ皮膚がすこし赤らんでいた。
嗚呼、見つかってしまった・・・。
私がバツの悪そうな顔をしていると、ローが頭を抱えて震えだした。が、急に立ち上がり

「ってめえ何やってんだよ!!!」

地響きがするような怒鳴り声が部屋中に響いた。
いや、部屋だけではない、おそらく酒場兼宿屋中に聞こえるぐらいの凄まじい勢いだった。

「私は傷を負うとすぐに治ってしまう。
タトゥーが残るとは限らなかった。」

そう、これは賭けでもあった。
治らない傷があると自分で気づいたのは、歓迎会でローにつけられたキスマーク。
もしかしたら能力の発動にオンオフのスイッチがあるなら、意識的に残せるものもあるのかもしれないと思ったのがきっかけだった。
ツナギを着れないのならせめてタトゥーでその証を残したい。
そう思ってさっきベポに着いて行ってもらい、彫り師の所に足を運んだのだった。

あれから1時間近く経ってるが、私の背中のジョリーロジャーは消えていない。


「・・・っごめんなさい!
私が弱いから、皆の足手まといになったらダメだと思って、
だからローの言うとおりツナギはもう着ないことに決めたの。
でも、仲間だと言ってくれたのが本当に嬉しくて。
私も同じ旗を背負いたいと思ったの。」

私は今まで見たこともないローの怒りに体の震えを覚えながら、必死に答えた。

「私も背負いたいの、貴方の、ローの夢を」


「・・・・・」
ローは黙ったままだったが、急にその場にしゃがみこんで頭を掻いた。
そして聞こえるか聞こえないかの音量で「っくそ」と呟いた。
「・・・何だってお前は黙って何でも決めようとするんだ」
「・・・・ごめんなさい」


心はすでにきまっていた。


「ロー、貴方に私はついて行く。」


もう、あの世界には戻らない。


「私強くなるから。


だから、


そばにおいて。」
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